第17話

どうしたら良いのだろう。床下を確認したまでは良かったが、その先はノープランだった。

『僕が見てくる』

 ゴイチは、私とタツヤを残して、床下に入って行った。


『オッチャン、オッチャン!』

 眠っていた男は、ゆっくりと目を覚ました。


 ――此処は、何処だろう。

 暗く湿っていて、狭いうえにカビ臭い。

 寒さも暑さも感じない。

 おかしな事に、自分の手足の所在が分からない。

 俺は誰だろう。

 どうして、此処にいるのだろう。

 思い出そうとしても、頭の中に砂が詰まったようで何も思い出せない――

 

『起こして来たよ。随分長く眠っていたみたいだな。自分の事も良く分からないし、まだ上手く動けないみたい』

 ゴイチは、戻ってくると、自分が目覚めた時の話をした。

『僕はね、何かを探すことの他は、全部忘れていたよ。大きな音がして、土が掘り返され、沢山の人が出入りするようになって、目が覚めた。後から、それは家を建てる工事の音だと分かったけど、すぐには上手く動けなかった』

「今は、記憶が戻ったし、普通に動けるね」

『タツヤ君やお姉ちゃんとお話している内に、色々思い出した。だから、あのオッチャンも、お話をしている内に、色々思い出すんじゃないかな』

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