第16話

「ねぇ、やめようよ」

 タツヤは私のパジャマの上着を引っ張る。

 私は逡巡しゅんじゅんした。正直怖い。怖いけれど、誰なのか、とても気になった。

「おふだを破けないように剥がして、ヤバかったら、すぐ貼る」

「お姉ちゃん、そんなことできるの? もし、凄く悪いものだったら、どうするの? お母さん居ないんだよ」


 私は、母の行動に疑念を持ち始めていた。何故、こんな所におふだが貼ってあるのだろう。此処に、眠っているのは、いったい誰なのだろう。

 私達から隠したい誰かなのだろうか。


「私は知りたい」

「……」

 タツヤの抗議の瞳には涙が滲んでいたが、私達は、知らなくてはならないような気がした。おふだはテープの様なもので貼ってある。新築の床を汚さない為なのか。これなら、剥がせるのではないだろうか。


 四辺のおふだを丁寧に剥がすと、家が大きく鳴った。私は床下を覗き込む。

「やっぱり、配管と土……」

 少々拍子抜けしながら、懐中電灯を色々な方向に向けて覗き込んでいた私は、息を呑んだ。

 床下収納口から離れた隅の暗がりに何かある。よくよく見ると、それは仰向けに寝た、人の形をしていた。


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