第15話

 私達三人は、一階に下りて行った。

 幸い今夜は、母は夜勤で留守だった。霊に関わっているのを知られる心配は無い。

「じゃあ、洗面所から見ようか」

 私は洗面所の床下収納庫を取り出し、床に置く。四角い穴がぽっかりと暗い口を開いた。深夜の床下を覗くのは、少し気味が悪い。床に腹ばいになって、持って来た懐中電灯で照らして床下を確認する。

「配管と土しか見えない」

見たままを伝えると、ゴイチはションボリとした。

「一応、台所の方も見てみようか」

 台所に移動する。


 台所の床下収納庫の上には、タイルカーペットが敷き詰められている。収納庫の蓋を開けるのには、カーペットを剥がさなければならない。使いにくいだろうと思う。台所は、冷えるからなのだろうか。

 一枚、一枚とタイルカーペットを剥がす手が止まる。

「何これ?」

 床下収納庫の蓋の四辺には、おふだが貼ってあった。母が貼ったのだろうか。何の為に?

「お姉ちゃん、これって……」

 タツヤの声が震える。

「……ヤバい奴かも」

 胸がザワザワした。

『どうしたの? 早く床下を探そうよ』

 後ろから覗いたゴイチは、おふだを見ると顔をしかめた。

『誰かが、床下で眠っているみたいだ』

 私とタツヤは戦慄した。

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