第2話
看護師をしている母は霊感が強い。
元々霊感が強い家系のようで、私と弟のタツヤは幼い頃より、不思議なエピソードを聞かされて育った。虫の知らせや、特定の人にしか分からない音や臭いの話。旅行先での「此処ちょっと嫌な感じがする」や、夢で故人と会話する話など。だから、私達にとってオカルトは身近なものだった。
家の怪音がラップ音ではないか問う私に、母はこともなげに言う。
「ミユ、そんな事心配していたの? これは、仕方ないのよ。ほら、家の南西の方向に墓地があるでしょ。つまり、墓地から見ると、家は北東の方向、丑寅の方向にある訳なの」
東から日が昇って西に沈むという、当たり前のことを説明するような口調だ。
「仕方がないって。方向と音が関係しているの?」
「丑寅は鬼門って言われていて、お墓がある南西は未申、裏鬼門と言われている。」
「それが?」
話が全然見えない。
「えっと、簡単に言うと、我が家は、霊の通り道ってことかな」
「えーっ、不味いんじゃないの? それ」
「別に。ただ通り過ぎるだけだもの」
(そうなの?)
「まぁ、そういう事もあるわよ。特に問題ないと思う」
母は、こうした事の取り扱いには慣れている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます