第19話 バウンティハンターのお料理(一)

「まあ、わかったよ。じゃあ、とりあえず何か食えるものさがしてくるぜ」


 ヴァルラはキッチンから食糧庫までをくまなく探した。盗賊団が残したとみられるベーコン、チーズ。そしていくつかの野菜があった。


 しかしここで困ったことがあった。

 主食になるパンがない。パスタはあるが、どうすればいいのかわからない。


「うーん。パンってどう作るもんなんだ?」


 よく調理担当の仲間が小麦粉をこねていたのを思い出す。さほど難しそうには見えなかった。


「こねりゃいいのか。そういや塩とか入れてたっけ」


 とりあえずボウルに小麦粉と塩、水を入れてこねた。べたべたと手にまとわりつく感覚に閉口しつつ適当に混ぜていった。

 主が腹を空かせているし、自分も我慢の限界だ。とにかく早くつくらなければ。そう思って急いでいくつかの塊に分け、それをオーブントースターに入れた。


 パンが焼ける間に厚さ10cmくらいの大きなベーコンの固まりを2等分して、フライパンで焼く。ジュージューと焼ける音がヴァルラの空腹をより一層刺激した。

 同時進行でジャガイモを茹でる。皮のまま丸ごとだ。ジャガイモは安くて腹持ちがよく、調理も簡単なのでよく食べていた。そんな昔の事を思い出しつつ、大きな鍋で茹でる。

 

 ふと、トースターから焦げ臭い匂いがしてきた。


「うっわ、畜生!」


 トースターを開けると、黒い煙と共に表面が真っ黒に焦げている物体が現れた。


「くっそ、なんだこりゃ」


 しかし割ってみると、幸い中までは焦げていない。ヴァルラは焦げたパンの表面をサバイバルナイフでガリガリとそぎ落とした。


「うん、これでよし」


 まだらに焦げが残る丸いパンを適当な籠に盛る。分厚いベーコン、ちぎったチーズと皮ごと茹でたジャガイモを共に皿にのせる。飲み物はまだ茶こしとやらがわからないので、缶入りのコーンスープにした。

 今回はちゃんとトレイに乗せてダイニングへと運び、適当に並べる。


「準備出来たぞ」


 ヴァルラが声を掛けると、主は足取り軽くやってきて席に着いた。


「まあ、こんなもんだろ。さあ、食ってくれ」

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