第12話 喧嘩して友達が増えた

 幼馴染を作りたいので、友達以外の子供に関わろうと思った、が。


 様子を見た限り、ある程度グループが固まってしまっている。

 男の子で集まって喧嘩してたり、女の子で集まっておしゃれしてたり。

 男女のカップルは二人だけの空間を構築して、大人が見守っている。


 そもそも、私はどんな子を探しているのか。

 幼馴染を作るとは、どういうことか。


 幼馴染は、幼い頃から親しい関係で、一緒にいてもいいし、離れて再会しても幼馴染だったはず。

 あとは、何かしら思い出話をしているのを見かけたような気がする。

 つまり、そういう思い出を作る時間が必要。


 私の場合は、魔術のための読み書きや運動で時間をだいたい使ってしまっている。

 これからも魔術に時間を使うことを考えて、魔術に興味のある子を探してみよう。

 魔術師を考えてる人は普段運動しない(偏見)だろうから、インドア派の子がいいだろうか。


 そして、探そうと思ったけれど、どこの家の子がインドア派なのかわからない。

 外に出ている子の顔も名前も住所も覚えていないし、たぶんこれからも覚えない。

 ちょっと困った。


 ・・・色々考えたけど、考える時間がもったいない気がしてきた。

 当たって砕けてみよう。


 まずは喧嘩してる男の子グループだ。(童貞が女の子に声かけるのは覚悟が必要)


 「なにしてるのー?」

 「あぁ!?見りゃわかんだろうが!!がはっ」

 「喧嘩してんだよ!!ぐふっ」


 殴り殴られをしながら答えてくれる。親切だ。

 ん?子供のためなら覇王様が手伝ってくれるみたいな話を聞いた気がしたけど。

 まあ、子供の喧嘩に大人が口を出さないというだけかもしれない。


 「おらっ」

 「いたっ」


 後ろから殴られた。痛い。

 どうやら喧嘩がコミュニケーションらしいので、喧嘩をしよう。


 「うらっ!!ぐっ」

 「おりゃっ!!ごほっ」


 顔面殴られながら相手の腹を殴る。

 相手の子供は一発で倒れてしまった。


 「おっ、なかなかやるな!!俺が相手だ」


 さっき質問に答えてくれた子だ。体格が良くて、髪を剃っている。

 喧嘩してた相手を倒して暇らしい。


 「いくぞぉ!!ぐっ」

 「おぉ!!ぎっ」


 1回、2回、3回。何回も殴り殴られを繰り返し、私が先に倒れる。

 負けたくなくて体の魔力を使って起き上がる。

 魔樹を触媒にした肉体で使えるようになった魔樹の特性“魔力を生命力に変換する”を使えなかったら、途中で体を動かす力が足りなくて負けていたかもしれない。

 生命力を底上げして何度でも起き上がって、それでも何回ノーガードで殴り合ったのかわからなくなったあと、唐突に終わった。


 「ぐっ、くそ・・・体が、動かねえ・・・」

 「はぁ・・・はぁ・・・つええな」

 「俺の負けだ!!くそっ!!」

 「いや、私のは反則だ。お前のほうが強い」

 「反則ってなんだ?」


 私の反則負けということを主張して、魔術について教えた。

 そうしたら、魔術に興味を持ったらしい。


 「俺も弟子入りする」

 「弟子入りしたいなら、絶対やりたいことが必要だけど・・・」

 「俺は絶対最強になるから、弟子入りする」

 「そうか。わかった。明日でいいか?」

 「ああ。そういえば、名乗ってなかったな。俺はウルディンギルアーク。お前は?」

 「私はドゥリンアーク。よろしく」

 「おう」


 ウルディンギルアークと友達になった。

 友達に肩を貸して、治療所に連れて行った。


 「なにしてんの!!もう!!」


 二人で説教を受けた。

 というか、ブロードさんと一緒にシャンディ師匠も居たので、そのままウルディンギルは弟子入りした。


 覚悟をしてから、女の子に声をかけて、幼馴染を作りたい。

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