第6話 ドゥリンアーク、やりたいことを見つける
やっと魔術のことが聞けると思って、エグチと一緒に魔術師さんのところに行こうとしたら、青髪の女の子に話しかけられた。
「あんたたち、何を話してたの?」
「ちょっと友達になっただけさ。なあ」
「うん」
「そう。あたしはティマヤトリムアーク。こいつがなんか危ないことしそうなら教えて」
「うん」
エグチは青髪の子の手を握りながら話す。
「心配しすぎだって。ちゃんと一緒に居るから」
「そんなこと言いながら豆を喉に詰まらせたでしょ!!」
「それは、ごめん。これからは気をつける」
「ほんとに、気をつけてよ・・・」
泣き始めたティマヤトリムをエグチが抱きしめて宥める。
ちょっと泣いてるティマヤトリムにひたすら謝るエグチ。
・・・どうやらエグチは忙しい。
私一人で魔術の話を聞きに行こう。
「あの、魔術師さん」
「なにかな」
「魔術って、どうやったら使えますか」
「・・・それを答える前に、確認するね」
「うん」
「魔術で、何をしたいのかな」
「何、を」
魔術で、何をする。
「魔術を使えるなら、使わないともったいないかな、って」
「それじゃ、教えられない」
「え?」
「魔術をなんとなく使うと頭が爆散して死んじゃうから」
「はぇ?」
なにそれこわい。
「魔術で絶対にやりたいことがある人だけ弟子にする誓いをしてるから、教えられないの」
「だめなんですね」
「うん。でも、魔術でやりたいことが見つかったときは教えて。そのときは、考えるから」
「わかりました」
軽い気持ちで魔術を使おうと思っていたけど、どうやら命の危険もあるらしい。
これは、ちょっと考えたほうがいい。
泣いてる青髪の子の頭を、赤髪の子が撫でている。
エグチたちはまだ忙しそうだから、邪魔しないように帰る。
***
家に帰ってから、母に魔術を学ぶことを相談したが、特に問題はなさそうだった。
覇王国では子供が自主的に学ぶことになっていて、だから学べる機会があるなら学んでおいたほうがいい、という話らしい。命の危険があることを説明してくれるなら、安全に教えてくれそうだという話もあった。
寝転がって、外の空を見上げながら考える。
前世では、私がやりたいことを見つけても、実現不能な理の世界だった。
理の付け替え、星の川を走るオープンカー、ブラックホールと友達になる、などを考えたが、実現不能だ。
宇宙は広くて夢がいっぱいだけど、世界の理があるから有限だ。
「そうか!だから求めていたんだ!魔術や奇跡を!」
魔術や奇跡なら、世界の理から外れたこともできるはずだ。
やりたいことが実現可能かもしれない。
「───ああ。そうか。私のやりたいことは」
きっと、世界をおもちゃにして遊びたいんだ。
・・・また、余計なことを考えた。生きづらいなぁ。
あの空に輝く星の川を走ってみたい。
「魔術ならできるはず」
明日、魔術師さんに教えよう。
***
わたしのやりたいことを魔術師さんに伝えた。
「えぇ・・・?」
本気か?みたいな目で私のことを見ている魔術師さん。
しっかり見つめ返す。
「本気ですよ。魔術とか使えばできるんじゃないかなって」
「できるかどうかは魔術師次第です。絶対にやりたいことなら、止めません」
「絶対にやりたいです。弟子にしてください」
「ふぅ。わかりました。どこまで力になれるかわかりませんが、これから私が師匠です」
「よろしくお願いします」
魔術師さんの弟子になった。
「他の弟子にも紹介します。ついてきてください」
「はい」
案内された先には、赤髪銀眼の子と、青髪翠眼の子が居た。
エグチとティマヤトリムだ。
私はエグチの隣の椅子に座って、テーブルを挟んだ向こう側に魔術師さんが座った。
「それではみんなで自己紹介をしましょう。私はシャンディ・ハードコートです」
魔術師さんはシャンディさんというらしい。
金髪碧眼で胸が大きい。
他の2人と一緒に自己紹介をした。
「あなたたちが、魔術でやりたいことができるように、これからよろしくね」
「「「よろしくお願いします」」」
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