第15話 謁見式・勇者認定・二組の婚約
馬車に乗っている王城へ向かっている最中、ふと疑問に思ったことを騎士団長のアイスネルさんに訊いてみることにした。それは、
「ちょっと思ったんですけど、なんで僕らは王城に招かれているんですかね?まだ世界を救ったわけでもないのに。」
ということだったが、
「ああ、そのことな。どうせ後でわかることだが、先に言うと、王家の伝承に、こういうのがあるんだそうだ。『ソノ昔世ニ厄災現レシトキ、魔法ヲ使イシ勇者現レ、混乱ヲオサメタ。ソシテ、勇者ハ神ノ1柱トナリ、世界ヲ見守ル役目ヲ担ッタ。ソノ神トナッタ勇者、マタソノ厄災ニ現レル、後世ニ伝エヨト予言ノ神託ヲ下シ、書物ニ残サセタ。』とあってな、さらに、おそらくその勇者から神になった神が、神託でそれを示唆して勇者認定するように神託を下してくださったのだ。それと、今回は特別な祭壇のある謁見場で行え、ともおっしゃったからこのことは全世界の人類が知ることになるぞ。なんてったってその祭壇、勇者から神になった方が作ったものらしいからな。曰く、全世界に向けて中継?されるらしい。」
と答えてくれたので、
「ありがとうございます。」
と返事したところで馬車が王城正門前に着いたようで、アイスネルさんが、
「勇者御一行のご到着、開門!!」
と伝えると、門番の兵士と思しき方たちが、
「了解!!開門いたします!!」
と言って、ギィィィと音を立てながら門を開けた。そして、そのまま王城の正面の庭の中に馬車は進んでいった。そして、馬車を止めると、ディメンションホームの馬小屋に馬を、馬車は傍らに置いて外に出、騎士団長、魔術師団長の二人とともに王城、謁見場を目指して歩いて行った。謁見場に行く前に、最低限の謁見時のマナーを教えてもらい、予め神託とともに現れた僕たち用の正装のうちの1着ずつを着て謁見場に向かった。なんでサイズ、わかってるんだ?と思ったら自動フィットだったようで勝手にぴったりの大きさになった。そして、そして、謁見場に着くと、騎士団長のアイスネルさんと、魔術師団長のアイスメルさんが揃って、
「勇者様御一行をお連れしました。」
と言うと、静かに謁見場の扉が開き、目の前には恐らく国王様と思しき方が向こうを向いて椅子に座っていて、先ほど王都門前で見かけたシスターが祭壇前で向こうを向いて祈っていた。そして、ゆっくり歩いていくと、急に頭上から、
『仲間みんなと祭壇に来てくれ。カイル。あ、これは声を届けているだけに過ぎないから何か今ここで言っても聞こえないしな。』
と聞こえたので、みんなに目配せして祭壇に向かうと、今度は、
『祭壇に手をおいた状態で森羅万象のスキルを起動してくれ。ちょっとそのスキルを改変してその状態でのみ俺のいる空間に魂が来れるようにしてあるから。ほかのみんなとももう片方の手かほかの場所を触ってもらってくれよ。』
と聞こえたので、みんなに、
(僕の左手かどこか右手以外を触っておいてくれる?)
と伝え、みんなが触ったのを確認してから、右手を祭壇に置き、
(森羅万象、起動。)
と念じると、一瞬にして視界が真っ白に切り替わり、眩しくて目を閉じてしまったが光が収まって目を開けると、目線の少し先に二人の人?がいた。感覚的にも実際にも神様なのだろうが、男性と女性だった。そして、
「初めましてだな、カイル、アイリス、アッシュ、サラ。今代の勇者パーティのメンバーだな。それと、カイル、指示聞いてくれてありがとな。これでようやっと話ができる。」
と言われたので、
「いえ」
とだけ答えて首を横に振った。すると、
「俺は勇者から神になったから魔法神アレンって呼ばれてる。こっちは元幼馴染で聖女だった聖神ユリアナ。俺と同時に神になったんだが、如何せん人見知りでな、初めて会う人とはしゃべれないんだわ。ああ、この後帰ったら婚約式をしてくれ。祝福はやるらしいから。あ、それと、今ここで俺とユリアナの加護をやる。俺の加護は済まんがいかんせん魔法限定でな。全員に恩恵は行くと思うが、少し限定的かもしれん。まぁ、と言っても本来付与できないはずの魔法を付与できるようになるから効果は絶大かもしれん。例えばディメンションブレード、グラビティコラプス、とかの攻撃魔法の付与可能化だな。それと、ユリアナの加護は魔力の回復速度5倍、常時体力回復、回復魔術、魔法効果3倍増だから、有効活用してくれ。お前ら、魔力の量も回復量もけた違いだから大いに役立つはずだ。まぁ、カイルの場合ほとんど減りすらしないから体力回復の方がありがたいかもしれんが。カイルが回復使ったら死んでさえいなければおそらく致命傷でも直してしまいそうだし、アイリスは蘇生魔術を使わなくても死後1時間以内なら最高位魔術、エクストラヒールで蘇生、蘇生魔術を使えば2日以内なら行けるんじゃないか?」
と教えてくれたので、みんなで、
「「「「ありがとうございました!!」」」」
と言うと、
「アイリス、カイルは気づいてるだろうけど、アッシュ、サラ、お前らもここで婚約しろよ。どう見ても二人とも恋してる者同士の顔だぞ。」
といわれて、アッシュ、サラは顔を真っ赤にしつつ、
「「わかりました。そうさせていただきます。」」
と言っていたので、アイリスと二人で顔を見合わせて微笑んだ。そして、魔法神アレン様の、
「じゃぁ、また戦いが終わって天界でな。カイル。いい仲間を持ったな。」
という声を聞きつつ、現実に戻ってきた。そして、
「「カイル、アイリス、」」『および』「「アッシュ、サラ」」『両2名はここに婚約することを誓う。』
と宣言すると、先ほどみた聖神ユリアナ様の魔力が僕ら全員に降り注ぎ、祝福がかかったのが分かった。そして、国王様の、
「勇者認定式を行う。使わないと聞いているが神剣を授与、勇者の証である神から送られしブローチを常に胸につけ、常に勇者として人々を救い、導く立場にあることを自覚して行動してくれ。それでは、解散する!!そして、勇者様御一行はこの後私の執務室に来てくれ。」
との宣言とともに謁見式が終わり、その場にいたすべての人がその部屋から出て行った。そして、僕らは国王様に続いて王城の執務室に向かった。
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無能と呼ばれた魔法士、世界最強~人類唯一の魔法使い、その力で人類を救う旅に出る~ 風涼光 @ecs
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