第4話 模擬戦

 お開きになった後、アイリスとアッシュが駆け寄ってきて、アイリスは、

「村長さんの話を聞いて、正直とてもびっくりしたし、そんな魔物に襲われても無事でいられたカイルを尊敬するわ。本当にカイルが無事でよかったわ。」

と言いながら両手で僕の右手を包みながら言ってきて、恥ずかしくて顔を真っ赤にしていると、アッシュが、コホンコホンと咳払いをすると、アイリスがハッとして、

「ごめんなさい。」

と言いながら顔を真っ赤にして、そそくさと離れ、代わりにアッシュが近づいてきて、

「あー、無事でよかったよ、ほんとに。お前が死んでたら確実にアイリスは大泣きしてただろうし。」

と言って、ハイタッチをしてきたので、あ、なるほど、こいつ、確実に俺のことライバル視してたな。まぁ、今のアイリスの様子を見て諦めたんだろうけど。と思いながら、ハイタッチに答えた。そして、アッシュが、

「ところでなんだが、めっちゃ気になってたんだが、魔法を使えるようになったお前はどれくらい強くなったんだ?そんなすごく強い魔物を倒せるってことは相当強くなったんじゃないかと思うんだが。」

と訊いてきたので、僕は少し考えてから、

「じゃぁ、やってみる?模擬戦。」

と訊き返すと、

「やってみたいとは思うけど、対等の状態だったら一瞬で負けそうな気がするんだよな。」

と言ったので、

「じゃぁ、こっちは身体強化と武器強化だけ、そっちは攻撃魔法あり、でいいんじゃないか?」

と提案すると、

「オッケー、それで行こう。」

と言って、アイリスに審判をしてもらって模擬戦をすることになった。アイリスが、

「よーい、始め!!」

と言った瞬間、僕は身体強化、武器強化を施して一気に最高速で距離を縮めた。すると、アッシュは牽制のつもりで放ったのだろうが、ファイアボールをまっすぐ放ってきたので、手に持った刀を居合の要領で抜きざまに切り、さらに加速した。それを見たアッシュがファイアウォールを発動する瞬間を見計らって身体強化の倍率をさらに上げ、発動場所を通り過ぎ、至近距離まで接近したところでアッシュが放った刺突をこちらも刺突で受け、腕を跳ね上げさせて首の真横で剣を止めた。すると、アッシュは、

「降参!!それにしてもほれぼれするような剣術だな。やっぱ強いな、カイルは。」

と両手を挙げながら言って、アイリスにこっちに呼び寄せるように手を振って、

「んじゃぁ、一旦帰るか。」

と言って、みんな解散した。

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