第11話
看板は覆面リーダーの脳天にクリーンヒットし、覆面リーダーは地面に倒れ伏した。
ま、このヒューマンの肉体では、獣人のこいつには大したダメージは与えられないだろう。
それに一刻も早くチクワを村に持ち帰らなければならない。俺は解放された王子に向かって叫んだ。
「ここは俺が時間を稼ぐ、早く行け!」
王子は頷く暇も惜しんで駆け出した。
斧での攻撃は切り裂くだけじゃない、質量で叩き潰す戦い方だってある。刃物じゃないからってなめるなよ。俺は看板を構え直し、後を追おうとする他の覆面どもを牽制する。
先ほどは不意をついたからうまくいったものの、形勢は未だ圧倒的に不利。だがやるしかない。俺はなんとかする男だ。なんとかしてやる。
その時だった。
まばゆい光と共にピシャーッと轟音が響き渡り、俺の手元に衝撃が走った。
なんとか持ち堪えてから目を開けると、看板が光り輝いていた。さしずめ“ライトニングトマホーク”ってところか。まあ実際は看板なんだけど。
傍らの毛玉を見やる。
「力を貸してやるからぶちかませ」とその不敵な目が語っていた。見た目毛玉なのになかなか粋なことをする。
「やったろうじゃねえか」
斧、じゃなかった、看板を上段に大きく振りかぶり、大技の構えをとる。
「疾風迅雷、舞え綿毛、サンダーポメラニアンスラッシュ!!!」
即興で技名を叫ぶ。即興ながらちゃんと提供元へのリスペクトを忘れないところが俺なりの気遣いだ。
横一直線に薙ぎ払うと、無数の小さな稲妻の獣が奴らに襲いかかった。おお、かっこいい演出。
覆面どもは煙を挙げて一斉に倒れた。息はあるようだが、身体が痺れて動けないらしい。
おし、これで当面の足止めはできそうだ。
俺はサンダーポメラニアンと一緒に、王子の後を追った。
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