第3話
毒チワワに囲まれて、じりじりと洞穴に後退していく。
わあ、紫まだら模様に目がチカチカする。いや、毒で目がシパシパしてるのか、これ。うーん、どうすっかな。チクワがあれば、ってホントにチクワ好きなのかな、こいつら。
「みて!チクワが!」
小脇に抱えた子どもが叫ぶ。いや、こんなとこにそう都合よくチクワなんかあるわけないだろ。
「ほら、洞穴のカベのところ!チクワが生えてる!」
かわいそうに、チワワの毒が回ってこいつおかしくなっちまったらしい。
植物じゃないんだからチクワが自生しているなんてことが・・・
「あ ん の か よ !」
振り返って思わず全力でツッコんだ。子どもの言った通り、岸壁からチクワが生えている。なんだよこれ。てかホントにこれチクワか?
と気になりつつも、試してみるしか生き延びる道はない。俺は壁のチクワを引っこ抜き、毒チワワどもに投げつけた!
「わあ、目がチカチカする・・・」
「ほんとだ。目が痛くなりそう」
泡を吹きながら虹色に輝き始めた毒チワワを目の前に、俺たちは目を覆った。
色が凄まじい勢いで変わっていく。さながらゲーミング毒チワワ。目をとろんとさせ、なんとも気持ちよさそうに地面に伸びていく。
「もしかして、このチクワって毒?」
「毒チクワってことか?まあ、岩壁に自生している時点で普通のチクワじゃねえからな・・・」
「毒チワワも、他の毒には弱いんだね・・・」
まあ、とりあえずチクワのおかげで助かった。
俺たちは足早にその場を立ち去った。
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