第1章 彼女との出会い その②

「うーん。Lady GaGaかな」


「ポポポポポポポポ!」


 えっ? 急にどうした? 


「Poker Faceだ よー!」


 香乃が笑い出した。びっくりした、急に何かと思った。「ポ」の連呼で何のことかわかる人はいないだろう。だが確かに音にしたくなる気持ちはわかる。Gagaの抑揚のない「ポポポポポポ」は曲全編を通して印象的だからだ。


「Gaga,oh-la-la」


 と香乃が歌い出したところで私が止める。


「待って。その曲はうちでは禁止なの」


「禁止かぁ。じゃあこっそりMVみたでしょ?」


 図星だ。


「教育上良くない」なんて言われたらつい見てしまう。MV自体はレーティングされていないが、批評家らから「過激だ」と言われている。


 私は父の影響で洋楽を聴き始めたものの、聴いていい曲には制限があった。例えば父は、MadonnaのLike a VirginのMVを卑猥だという。私には、ただクネクネ踊ってるだけに見えるが、父にとっては問題らしい。



「GaGaのダンスかっこいいよね」


 香乃も洋楽が好きみたいだ。どのアーティストが好きなんだろう?


「私? 私はKaty Perryをよく聴くよ」


 香乃が嬉しそうに話す。


 私はKaty Perryに詳しくはないが、どのMVにもKaty本人が登場することや、曲ごとにMVの雰囲気ががらりと変わることは知っている。


「Last Fryday Nightなら聴いたことあるよ」


「いいね! でも私の一番好きな曲は……そのうち教えてあげる」



 昼休みを終えるチャイムが鳴り、私たちは急いで階段を降り、教室に戻る。

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