8/27【火】晴れのち曇り―19日目―

タネもあと残り2個。


ボクは机の上に置かれたタネをボンヤリと眺めていた。


あとはどんな"お願い"にしようか考えながら、昨日のことを思い出す。


……水谷さんはうまく花を咲かせただろうか。


気がついたら、自分の"お願い"のことより水谷さんのことばかり気にしちゃっている。


考えごとをしすぎて頭がパンクしそうだ。


気分転換にマンガでも読もうと、机の横にある本棚に手を伸ばす。


ペラペラとページをめくる音が部屋に響く。


時計の秒針がいつもより大きく聞こえる。


本を読んでいる最中、急に意識がうつらうつらとしてきた。


視界が狭くなって、時計の音が遠くなっていく。


手に持っていたマンガがパタンと机に倒れ、僕のまぶたは静かに閉じた。


―――――


―――



……カチカチカチ


時計の音のボリュームが段々と耳にうるさく感じる。


徐々に脳みそが眠気を追い払っていく。


机に突っ伏していたボクは、体を起こし軽く背伸びをした。


時計を見ると、寝てから1時間ぐらいたってた。


シパシパした目をこすりながら、倒れていたマンガを本棚に戻す。


座った状態で数秒意識を整えてから、ボクは椅子から立ち上がった。


そういえばタネを机に置きっぱなしだったことを思い出し、視線を机に移した。


あれ?ない……


机の下、引きだし、マンガの間と他にも部屋中探しまくった。


最後にゴミ箱をひっくり返したがどこにも見当たらなかった。


軽くパニックになりながら、ボクは1階に駆け下りる。


リビングのドアを勢いよく開け、台所にいたお母さんに問いかけた。


「お母さん!ボクの部屋入った⁉」

「え?入ってないけど……ていうかみのるいつの間に帰ってたの?」

「ん?ボクずっと部屋にいたよ?」

「ウソおっしゃい。ちょっとでかけてくるーって言って外に飛び出してたわよ」

「……どういうこと?」


不思議そうな顔をしているお母さんの目の前で、ボクは何も考えられずただただ立ち尽くした。

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