8/23【金】曇り―15日目―
残りのタネは5個。
もう半分使ったのか。
あとはなんの“お願い”に使うか悩ましいところ。
ベッドの上で仰向けになりながら、あーでもないこーでもないと考え続けた。
1~2時間頭の中でたくさんのボクと会議を続けたが、結論は出なかった。
気分転換しようと外をブラブラすることにした。
あてもなく歩いていると、近所の小さな川の横を通りかかった。
涼しそうな川を眺めながら歩いていると、川辺に人がいるのを見かけた。
後ろ姿から小学生の女の子だとわかった。
1人でなにしてるんだろう?と気にしながらその子の顔が見える場所に移動する。
顔が見えたときボクの動きはピタッと止まった。
水谷さんだ――
同じクラスで席はボクの隣。
時々水谷さんが教科書を忘れてそれでボクのを見せたり、ボクの消しゴムを貸したりしてる。
軽く話したことがある程度で仲がいいわけじゃない。
というか水谷さんはクラスではちょっと浮いている。
いつも同じ服着てるだとか、忘れ物しすぎだろとか、クラスメイトによくからかわれている。
クラスに仲が良い子はいなくて、図書館にいることが多い。
でもボク的には嫌いじゃないんだけどなぁ。
教科書見せたあとや消しゴムを貸したあと、すごく丁寧にお礼を言ってくれる。
それに朝教室に来て席に座ったとき、小さい声だけどおはようって声をかけてくれるし。
そんな水谷さんは川をじっと見つめて、なにか悲しそうな?顔をしている。
深刻そうな雰囲気に声をかけようか迷ったけど結局ボクはその場を離れた。
なんか踏み込んでいいようなよくわからない感じがすごく不安に思えて、足がすくんじゃった。
家に帰ってからご飯を食べてるときも、お風呂に入っているときも、
布団に入って目を閉じたときも、ずっと水谷さんのあの悲しそうな顔が頭から離れなかった。
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