8/20【火】晴れ―12日目―

朝になり、ガバッと勢いよくベッドからはね起きる。


カーテンを力いっぱい開くと、部屋中朝日の光でいっぱいになる。


窓辺の棚に置いてある植木鉢を見ると、すでに花は枯れていた。


これはつまりもう超能力を身につけたということなのか?


急に心臓がバクバクと興奮で爆発しそうだ。


深呼吸を2、3回したあと、顔を両手でパンパンと叩く。


気持ちを落ち着けたあと、


「時よ止まれ!!」

 

気合を入れビシッと言葉を吐いた。


確認のため窓を開け家の周りを見渡してみる。


目の前にはカラスや雀が飛び交い、道ではおじいちゃんがゆっくりと犬を散歩する姿が見えた。


あれ?動いてる?


何回も確認したけど世界は止まっておらず、いつも通りの風景を見せている。


ガッカリしたボクは窓を閉め、深いため息をついた。


さすがに超能力は無理だったかぁ……。


とりあえずまた違うお願いを考えようと、不意に壁にかかった丸時計を見る。


すると秒針の針が止まっているのが見えた。


昨日は普通に動いてたのになと不思議に思いながら、電池が切れたかと考えて時計に手を伸ばす。


手が触れかかったとき、超能力のことが頭をよぎった。


まさかと思いながら、「時よ動け」と静かに唱えた。


カチカチカチ


何もなかったかのように秒針が動き出す。


時計を両手で持ちながら今日2回目の深いため息をついた。


「確かに時は止まったけど、そういうことじ ゃないんだよなぁ……」 


ボクはふて寝を兼ねて、2度寝をして現実を忘れることにした。

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