第16話 村へと到着
馬車に揺られて数時間。
いつの間にか、とある村へと着いていた。
「ここが目的地?」
「随分と奥にあるみたいだけど。」
「えぇ、ここに派兵された兵士と合流する予定よ。って、事前に説明されてたでしょ…。」
ここに来た兵士の仕事に協力する。
それが、今回の校外学習の目的だ。
そんな話をしていると、村の入り口に止まる。
「着いたわ。降りましょう。」
「はーい。」
「さぁて、どんなところかなっと。」
止まった馬車から降りていく生徒達。
降りた者から体を伸ばして、旅の疲れを取る。
すると、軽めの鎧を着た者達が近づいてくる。
「やぁやぁ。君達が、魔法学校の生徒さん達で間違いないよね?」
「はい。今回は、校外学習の許可をいただきありがとうございます。」
班を代表して挨拶をするレリーア。
それを見た兵士の一人は、気軽に片手を上げる。
「こちらこそ。楽にしてくれて良いからね。」
「はーい。それじゃあ、適当にしとくねー。」
「早っ!? 少しは緊張というものを持ちなさいっ。」
「ははっ。」
遠慮が一つもなく接してくる生徒に動揺する兵士達。
しかし、それもすぐの事だ。
すぐに元の顔つきに戻る。
「まぁ、この辺りを見て回るだけの仕事だからね。そこまで緊張しなくていいよ。」
「といっても、この辺では魔物は殆ど見かけないけど。」
比較的、安全な場所のようだ。
なので、魔物の襲撃の心配はしていない。
「それじゃ、見て回るだけなの?」
「そうだよ。今回の目的は、村の周囲に魔物が巣を作ってないかを確かめる為だからね。」
「魔物がいないのに?」
「うん。まぁ、いるにはいるからね。何か起きてからじゃ遅いんだよ。」
魔物が少ないからといって、何も起きない訳ではない。
それなのに、兵士を置いておけない以上は何か起きた時に対処が出来ない。
「まぁでも、危険な魔物がいないのは確かだよ。だから、安心してね。」
「だってさ。ほら、レリーアちゃんももう少し軽く行こうよ。ね?」
「あなたは軽すぎるのよ。まぁそういう事なら、少し肩の力を抜きますわね。」
咄嗟の判断が出来なければ、何かが起きた時に対処が出来ない。
それに納得をしたレリーアを見た兵士が笑顔で首を縦に振る。
「それが良いよ。それじゃ、村長に挨拶に行くよ。荷物は持ったかい?」
「はーい。いつでも良いよー。」
「分かった。なら、着いてきてね。案内するから。」
荷物を持った生徒達は、歩きだす兵士達についていく。
その際、イリアがどこからかの声を聞く。
「あれ。また無くなってるよ。」
「本当だ。どこかに置き忘れたんじゃないのか?」
「いや、そんな筈は…たぶん。」
「ん?」
村人らしき人達の話を不思議そうに聞くイリア。
そんなイリアに、レリーアが気づく。
「イリアさん? どうかしましたか?」
「ううん。今行くよ。」
疑問を持ちつつも、すぐさまレリーア達を追いかける。
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