第15話 いざ、校外学習へ

 ここは学生寮の一室。

 そこでは、イリアが鞄に荷物を詰めていた。


「これで良しと。」


 詰め終えた鞄を閉じるイリア。

 そして、それを背負ったイリアは部屋から出る。


「いってきまーす!」


 勢いよく飛び出したイリアは、学生寮を出て学校の門へと向かう。

 そこには、同じような荷物を持った生徒達が集まっていた。

 更には、複数の馬車も並んでいる。


「もう皆集まってる。えーと、レリーアちゃんは…。いた。おーーい!」


 その中からレリーアを見つけると、呼びかけながら近づく。

 すると、それに気づいたレリーアが振り向く。


「あら、遅かったじゃないイリアさん。」

「はぁはぁ、少し荷物を詰めるのに手こずっちゃって。」

「荷物を? まさか、本当にお米を持って来た訳じゃないですよね?」

「あははっ、だからあれは冗談だって。」


 疑いの目を向けてくるレリーアへと笑って否定するイリア。

 何はともあれ、どうやら集合時間に間に合ったようだ。

 そんなイリアへと、外の生徒達が声をかける。


「お、イリアじゃん。おはよっ。」

「おはよー。楽しみだね、校外学習。」

「まあね。美味しいご飯が出るか心配だけど。」

「うちはちゃんとしたシャワーが浴びれたらそれで良いかな?」


 生徒達が、これから向かう校外学習について楽しそうに話し合う。

 初めての事で、色々と心配なのだろう。

 それを聞いたレリーアが呆れながらも注意する。


「言っておきますが、旅行に行くわけではないのですよ?」

「分かってるって。敵を倒すんだよね? 私達なら大丈夫だって。」

「そうそう、大丈夫だよ。レリーアちゃん!」

「……その自信がどこから来るか、ぜひ知りたいですわね。」


 謎の自信を見せる生徒達を見て不安を覚えるレリーア。

 それに対して、生徒達は楽しそうだ。

 すると、教師の一人が現れる。


「そろそろ時間です。皆さんいますか?」

「いまーす。分かんないけど。」

「じゃあ何で返事したんですの…。問題なく、皆さん揃ってますわ。」


 適当に返事をするイリアに代わり返事をするレリーア。

 どうやら、集まった生徒達を確認していたようだ。


「流石レリーアさん。では、そろそろ出発しましょう。先日に決めた班通りに分かれて馬車に乗って下さいね。」


 集まった生徒達が、複数に分かれて乗り込んでいく。

 それを見ながらも、イリアとレリーアが同じ馬車へと乗り込んでいく。

 先程の、楽しそうに話してた生徒達も一緒だ。

 それを確認した先生が生徒達へと聞こえるように声をだす。。


「皆さん乗りましたね。では、怪我が無いように頑張って下さいね。それでは、出発して下さい。」


 先生の指示で動き出す馬車達。

 そして、最後のに乗るイリアが指をさす。


「んじゃしゅっぱーつ。」

「言わなくても動きますわよ。」

「分かってないなぁレリーア。こう言うのはノリだよノリ。」

「そういう事っ。」

「え!? もしかして私がおかしいんですの!?」


 レリーアの突っ込みが響くなか、遂に馬車が動き出す。

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