第14話 誓いと別れ
町の入り口に、ウォーコングと魔猿達が集まる。
そして、後ろにいるドッコイ達を見る。
「奪った物は返すぜ。負けた者は去るだけさ。本当は捕まるのも覚悟してたけど。」
「許して貰えて良かったね。」
「あぁ、優しい奴らに感謝感激だ。いつか、恩を返すつもりさ。」
あの後、ウォーコング達を糾弾したものはいなかった。
むしろ、大きく歓迎された程だ。
なので、来る前に戻すだけで許されたのだ。
「ま、皆さんの心にも届いたという事でしょうね。」
「そうだと嬉しいぜ。あいつらのリズムも中々のものだった。勿論、あんた達のリズムもな。」
「えぇ、悪くはありませんでしたわ。」
「うん、またやろうね。」
肯定してくれる二人へと頷き返すウォーコング。
後ろの魔猿達も、嬉しそうにはしゃいでいる。
「んじゃ、俺達は行くぜ。その為にも、一からリズムをやり直さないとだからな。」
「もう道を踏み外すなよ?」
「当然さ。あんたの下手くそなリズムに教えられたからな。心のブラザーに誓うYO。」
「YO。」
ドッコイとウォーコングが、拳同士を軽くぶつけ合う。
もう二度と、今回のような事を起こさないだろう。
しかし、反対側の拳でウォーコングを殴り飛ばす。
「って、誰が下手くそだーーーー!」
「時間差!?」
「というより、気にしてましたの!?」
ウホーーーーーーッ!
ウキーーッ!?
高い空へとウォーコングと魔猿達の悲鳴が響き渡る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「行っちゃったね。」
「そうだな。」
「上手くいくと良いね。」
「いくだろうな。俺が言うんだから間違いないさ。」
ウォーコング達なら必ず活躍をするだろう。
拳を交えたドッコイは、確信を持っている。
そんなドッコイをイリアが見る。
「さて、ええと…私達何してたっけ。」
「お買い物でしょう…。言い出した本人が忘れないで頂戴。」
「あはは…。そうだったね。」
元々は、買い物の為に町に出たのだ。
どうやら、一連の事件の間に忘れてしまっていたようだ。
「用事があるのか。では、我もそろそろこの辺で去ろうか。」
「えー。折角来たんだし一緒に回ろうよ。ね? レリーアちゃん。」
「そうね。特に必要な事でもありませんし。」
買い物は、絶対しないといけないという訳でもない。
なので、予定が変わったところで影響はほどんどない。
それを聞いたドッコイは悩む。
「良いのかい? お邪魔してしまっても。」
「うん。心を通わせるって奴だよ。折角こうして契約もしてるのに、用事の時だけ会う関係ってのは寂しいじゃない?」
契約した関係なのに、会うのは何かあった時だけ。
それが、相手を利用するだけに見えて嫌なのだ。
「そうか、そうだな。なら、少しばかりこの町に残ろうか。」
「やった! それじゃ早速どこから…。で、どこ行こうか。」
「考えていないんだな。」
「そういう子よ。覚えておくと良いわ。」
呆れるようにドッコイへと伝えるレリーア。
すると、イリアは恥ずかしいのを誤魔化すように頬をかく。
「あはは。でも、これも心を通わせるって事だよね。だからさ、これからいっぱいお互いの事を知っていこうね。ドッコイさん。」
そう言いながら、イリアは満面の笑顔をドッコイに見せる。
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