第11話 ドッコイVSウォーコング

 状況を確かめているドッコイに、イリアとレリーアが駆け寄る。


「ドッコイさん、今のは何なんです?」

「演出の事かな? 派手な方が面白そうなんで盛っておいたのさ。案外おしゃれに出来てただろう?」

「おしゃれ感覚!?」

「というより、盛れるんですの!?」


 意外な事実に驚く二人。

 一方、ドッコイは得意気な様子だ。

 そんなドッコイは、周囲を見る。


「ところで、これはどういう状況だ?」

「そ、そうだ。あの大きいのが変な結界を張ってて、ドッコイさんなら何か知っているんじゃないかって。」

「変な結界? そうか。」


 イリアの指先にいるウォーコングを見るドッコイ。

 すると、ドッコイはウォーコングへと歩いていく。

 それを見たウォーコングは、一歩後ろへ下がる。


「ず、随分と派手な登場。そんなお前は誰でしょう。人か? それとも猿なのか?」

「毛なんて生えねぇよ馬鹿やろう!」

「ウガっ。」


 殴られたウォーコングは、大きく吹き飛ぶ。

 どうやら、結界を貫いて攻撃を与えられたようだ。


「やった! 流石、ドッコイさん!」

「やるわね。あの骸骨。」


 喜ぶイリアやカレン達。

 しかし、当のドッコイは自分の拳を見る。

 そんな中、ウォーコングが笑う。


「はっ。やった? 誰が? 何をだい?」

「「「っ!?」」」


 驚く一同の前で、ウォーコングが勢いよく飛び起きる。

 どうやら、殴られた顔には傷一つ無いようだ。

 そんなウォーコングは、呆れたようにリズムを取る。


「立派なのは見た目だけ。中身がねぇし心もねぇ。そんな拳じゃ届かねぇ。」

「届かないって、吹き飛んでたわよね? みっともない強がりね。」

「そうじゃねぇYO、猿もどき。届いてねぇのはそっちじゃねぇ。」

「っ!? また猿もどきって言ったわね!」


 怒るカレンに対し、ウォーコングは呆れたままだ。

 しかし、攻撃が効いていないのは間違いない。

 そんなウォーコングは、ドッコイへと詰め寄る。


「あんたは空っぽ、ただのハリボテ、そんなすかした拳じゃ届かねぇ。それでもまだまだやるのかい?」

「……………。」


 ウォーコングに煽られるも、ドッコイは動かない。

 そんなドッコイへと、ウォーコングは更に煽っていく。


「ここまで言われて動かねぇ? ほんとに中身は空っぽかい? すかしたのは、その体だけにしときなYO。」

「……………。」


 それでもやはり動かない。

 じっとウォーコングの顔を見ている。

 そんなドッコイをイリアが見つめる。


「どうしたんだろ、ドッコイさん。」

「もしかして、びびって動けないんじゃないかしら?」

「そんなまさか。」


 全く動こうとしないドッコイを心配している。

 ウォーコングもまた、動かないドッコイを見る。

 そんな中で、遂にドッコイが動き出す。


「よし、出来た。」

「ん? 何が出来たって? やったって?」

「……………。」


 それでもドッコイは答えない。

 代わりに、ウォーコングと同じ動きをしだす。


「俺はYO、ドッコイだYO、最強の骸骨騎士だYO!」

「乗っかった!?」

「しかも、なんか下手!?」


 ウォーコングの喋り方をしたのだろう。

 しかし、どこか下手くそだ。

 それを聞いたウォーコングはすぐにやり返す。


「突然喋ったと思ったらっ。ただの真似かい? 猿真似かい?」

「あ? 猿なのはてめぇだろYO!」


 ドッコイもまたすぐにやり返す。

 さっきまで黙っていたのが嘘かのように。

 更にドッコイは、怒りをリズムに乗せる。


「さっきから黙ってたらYO! 好き勝手言いやがってYO!」

「YOYOうるせぇYO! あんたの喋りはなってねぇ! 上手くねぇ!」

「それがどうしたYO! かっこつけの親玉さんYO!」

「かっこつけて何がわりぃ! かっこつけてこその人生さ!」


 どちらも引かずに言い合っている。

 その度に、二人の距離が縮まっていく。

 すると、ドッコイが拳を握る。


「かっこつけなら構わないYO。そこにお前の心があるならYO!」

「はっ、俺に説教? そんなの結構。元から心はここにあるっYO!」

「そうかい、それなら試してやる! YOっ!」


 そう言いながら、ドッコイがおもいきり殴る。

 それに対して、ウォーコングが笑って受ける。

 次の瞬間、ウォーコングが空高くに吹き飛ぶ。


「ウガアアアアアアアアアッ。」


 威力は先ほどよりも高い。

 しかも、口から血を吐いている。

 ダメージを受けたようだ。


「やった! 攻撃が効いてる!」

「そんなっ、どうしてなの? 一体、あの骸骨騎士は何を。」


 ダメージを与えたなら、結界を貫いたという事だ。

 その結果に驚く一同の前で、ウォーコングが地面に落ちる。


「な、なぜっ。」


 血を吐きながら、ドッコイを見るウォーコング。

 ウォーコング自身も、自分に何が起こったのかが分からないようだ。


「こっから先は互角の戦い。そんなに知りたいならかかって来いYO。」


 そう言いながら、倒れたままのウォーコングへと指をさすドッコイ。

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