第8話 生徒会登場

「とうっ。」


 生徒会と名乗る者達は、建物の上から飛び降りる。

 そして、そのまま二人の前へと着地する。


「よっと。待たせたわね、レリーアさん。」

「待ってないわ。」

「ふふっ、相変わらずね。」


 意気揚々と話しかける生徒会の一人。

 しかし、レリーアの反応は薄い。

 そんなレリーアに代わり、イリアが答える。


「生徒会さん? 揃ってるの初めて見た。」

「まぁ、仕事が違うから基本会議でしか揃わないしね。じゃあ、改めて自己紹介でもしましょうか。」


 同じ生徒会だからと、常に一緒にいる訳ではない。

 そんな一番前に立つ生徒会の人が咳払いをする。


「成績優秀、容姿端麗。私こそがこの学校の生徒会長のカレンよ!」


 生徒会長のカレンが勢いよく手を突き出す。


「まぁ流石に知ってるかな。ってか、自分で言うものなの?」

「いつもこの調子よ。気にしないで良いわ。」


 自分を高く評価する人のようだ。


「そして次は、学校を代表するイケメン王子。だけど本当は料理好きな女の子。副会長のクーリス!」


 副会長のクーリスは申し訳なさそうに手を振っている。


「あっ、この人も有名だよね。歩くだけで女子生徒から歓声が上がるっていう。」

「流石の私も、あれだけ注目されるのは嫌ね。監視されてるようなものだし。」


 意外と苦労人なひとなのかもしれない。


「さぁ、どんどん行くわ。学業はこの学園のトップクラス。学校の管理なら私に任せなさい。生徒会書記のサーシャ!」


 生徒会書記のサーシャは、眼鏡をクイと上げる。


「賞をいっぱい貰ってる人だよね。」

「えぇ。二年にして、多くの職業に貢献してる人ですね。」


 優れた頭脳を持っている人のようだ。


「そして、小柄にして力持ち。この子がいないと生徒会は成り立たない? 雑用のユタカ!」


 雑用のユタカは、腕の小さなこぶを見せつける。


「実は一番見る人だよね。」

「そうですね。運営の主な仕事を担っている方ですから。」


 一番必要な者は、一番動ける者を体現したような人だ。


「そして最後は、レリーアさん…貴方が入ってくれたら完璧な組織になるんだけど。」

「何度も断ってるでしょう。入る気は無いですわ。」

「やっぱり? ざーんねん。」


 仕方ないとばかりに引き下がるカレン。

 しかし、悔しそうには見えない。

 何度もしている会話なだけあって、返事を分かっているからだろう。


「レリーアちゃん、生徒会に勧誘されてたんだね。どうして受けないの?」

「だって柄じゃないもの。それに……。」

「それに…?」

「あんなにダサいポーズに混ざりたくもの。」


 その言葉と共に、場の空気が固まる。

 ダサいポーズとは、最初にしていたポーズの事だろう。

 それを聞いたカレンが慌て出す。


「え? ダサい? 頑張って考えた…程じゃないけど、良いポーズの筈でしょ。」

「頑張った訳じゃないんだ…。でも、私から見てもダサかったかな?」

「そ、そんな筈はっ。ダサくないわよね! 皆!」


 違う事を証明すべく、他の生徒会のメンバーへと尋ねるカレン。

 しかし、見られたメンバー達は言いづらそうに目を背ける。


「えっ、皆も!?」

「それよりも会長、魔猿をどうにかしなくては。」

「話を逸らした! やっぱりダサいと思ってたのね!」

「あぁ、まぁ…。」

「そこは否定するところでは!?」


 書記のサーシャは、申し訳なさそうにしている。

 他の生徒会のメンバーも同様だ。

 それでも、配慮する気にもならない程のようだ。


「しかし会長。魔猿をどうにかしないといけないのは事実です。いかにしましょうか。」

「そうね。こんな小物を相手にするのも時間の無駄だし、親玉の所に直接出向くわよ。」

「そうですね、私も同じ意見です。行きましょう。」


 町には、沢山の小さい魔猿がいるのだ。

 それらの一匹や二匹をどうにかしたところで変わらないだろう。

 ならば、これらの親玉を追い払った方が手っ取り早いのだ。

 その時、大きな影がこちらを見る。


「なんだぁさっきからYO。俺達のしまで騒いでんのは、何処のどいつだYO。」


 そう言いながら、大きな何かが振ってくる。

 それを見た生徒会のメンバーの顔つきが変わる。


「どうやら、向こうから来てくれたみたいね。」


 一同の視線が集まる中で、その大きな影が立ち上がる。

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