第6話 学校での日常生活

 とある町にある古くて大きな建物。

 そこでは、魔法の授業が行われていた。


「えいっ。風よっ!」


 イリアが風の魔法を放つ。

 その魔法は、目の前の的を吹き飛ばす。


「飛ばしてどうするんです。ちゃんと的の先の火を消して下さい。」

「はーい。」


 先生らしき人に怒られ落ち込むイリア。

 すると、その横にレリーアが立つ。


「全く貴方って人は。風よ。」


 今度はレリーアが風の魔法を放つ。

 その魔法は、先ほど吹き飛んだ的を掬い上げて元の場所へと立たせる。

 すると、教室に拍手が起きる。


「流石、レリーアさん。素晴らしい魔法です。」

「いいえ。それほどもありませんわ。」


 先生からの称賛へと手のひらを向けて否定するレリーア。

 それから授業も終わりお昼休みへ。

 昼食の為に、二人は食堂へと向かう。


「レリーアさん、こんにちは。」

「はい、こんにちは。」

「あ、レリーアさんだ。こんにちは。」

「こんにちは。」


 レリーアが歩く度に、四方から声をかけられる。

 その度にレリーアは手を振り替えして返事する。

 そんなレリーアの横で、イリアが並んで歩く。


「ほんと、首席さまさまだね。さっきの授業も凄かったし。」

「貴方も少しは勉強なさい。もう少しで、校外学習なんだから。」

「校外学習? あー、実際の魔物退治に出るやつだっけ。」

「そうよ。それで、どのように実戦で使うのかを勉強するのよ。」


 魔法は習っただけでは意味がない。

 どのように使うのかを学ぶ必要がある。

 その為の校外学習だ。

 そんな話をしつつも、食事を注文して席へと座る。


「実戦ね。でも、それなら大丈夫じゃない? だって、既に経験したばかりだし。」

「ウルフマンの時の事? それなら、追われてただけじゃない。貴方。」

「あれ、そうだっけ。」


 ウルフに追われてた時の事だ。

 実際に、イリア自身は追いかけられていただけだ。

 レリーアの助けが無ければどうなっていただろうか。


「じゃあさじゃあさ。ウルフマンさんと戦った時の事は? 結構活躍してたと思うけど。」

「あの時だって、あの方がいなければ勝てなかったでしょう。」

「ドッコイさんの事? あー、ドッコイさん元気かなー。」

「はいはい。現実逃避しない。」


 どちらにしても、イリア一人ではどうにもならなかった事だ。

 その時の事を、経験の一つに加えるには到らないだろう。


「結局、私達は戦い方を学ばなくてならないのよ。同じ状況になっても一人で対処出来るようにね。」

「それはまぁそうだね。私も頑張るよ。」

「えぇ、そうしなさい。」


 いつも助けてくれる者がいるとは限らない。

 戦い方を学んで、一人でも乗り越えられるようにしないといけないのだ。 


「じゃあさ、校外学習用の買い出しに行こうよ。」

「買い出し? ただの校外学習でしょ。新しいのを買いに行く程じゃ無いわよ。」

「いやいや、必要だと思うよ? お米とか。」

「どこで炊く気ですのっ! そもそも、持って歩けないでしょ。」


 外に出るという事は、重い荷物を持ち歩く事は出来ない。

 そうなると、持って行くものも限られてくる。

 なので、買い出しに向かう程の事では無いのだ。


「まぁ冗談は置いといて。どうせだし、見て回ろうよ。念には念をだよ。」

「じょ、冗談…。ま、まぁ、そうですわね。確認をするに越した事はありませんわね。」

「それじゃあ、決定ね。放課後に集合って事で。」

「分かりましたわ。」


 こうして、一緒に買い出しに行く事が決まった。

 放課後になると、早速町へと買い出しに向かう。

 そして、そこで目にしてしてしまう。

 町中に散らばる沢山の魔物と、中央に立つ大型の魔物を。


「「………乗っ取られてるーーーーーーーっ!?」」


 そんな二人の叫びが町中に広がる。

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