第3話 友達との合流

 ふわりと蔵から飛び降りる謎の少女。

 その者は、イリアと同じ制服を着ている。

 その少女へと、イリアが駆け寄る。


「レリーアちゃん! 無事だったんだね!」

「それはこっちの台詞です。貴方がいなくなったと知ってひやひやしましたよ。」


 親しく話し合う二人。

 どうやら二人は知り合いのようだ。

 そんな二人へと、ドッコイが近寄る。


「その口振りからするに、探してた友達だね?」

「はい。何とか合流できました。」

「全く、迷惑をかけないで…って誰っ!?」


 ドッコイを見て驚くレリーア。

 近くに来るまで気づかなかったようだ。

 そんなレリーアへと、ドッコイが軽く答える。


「あ、我の事はお構いなく。」

「え? えぇ。じゃあ…って、そういう訳にはいかないわよっ。貴方は一体何者なのっ。その体だって。」


 突然現れたドッコイが気になるのだろう。

 しかし、ドッコイは迷わずに答える。


「この体か? ただの骨さ。」

「ただの骨だね。」

「見れば分かりますわっ。貴方、魔族ですよね? どうしてこんな所にいるんです?」


 正体不明の骨の騎士だ。

 何処から来たのかが気になるのも当然だ。

 すると、イリアが手を上げる。


「あ、ドッコイさんなら私が召喚しました。」

「はい、召喚されちゃいました。」

「しょ、召喚!?」


 その言葉を聞いて驚くレリーア。

 そんなレリーアは、イリアの肩を掴んで寄せる。


「貴方、正気ですか? 魔族を召喚するということがどういう事か。」

「うん、強そうだよね。」

「そういう事を言ってるんじゃないんですけどっ。そもそも、協力してくれるかも分からないと言うのに。」


 相手は得体のしれない魔族。

 信用できるような相手ではない。

 それでも、イリアは自信気に答える。


「それなら大丈夫だよ。だって、騎士っぽい格好だし。」

「貴方は少しは疑う事も覚えなさいな。」

「でも、レリーアを助けたいって言ったら協力してくれたし。」

「助けるどころか、助けられてますけどね。」


 どこまでも陽気な友の姿に頭を抱えるしかない。

 しかし、もう過ぎた事だ。

 呆れつつも、ドッコイに向き合う。


「仕方ありません。私もイリアが信じる貴方を信じます。良いですね?」

「いかにも。この剣にかけて裏切らないと誓おう。」

「でも、その剣抜けませんよね?」

「そ、そうだったーっ!」


 イリアの指摘に絶叫するドッコイ。

 そんな二人を、レリーアが呆れながら見る。


「何なんですの? この茶番は。」

「雰囲気で。」

「ノリで。」

「意味が分かりませんわっ。」


 息のあった二人のやり取りに突っ込みを入れるレリーア。

 今までのやり取りに、少し疲れが見えている。


「大丈夫かい? 疲れているようだけど。」

「誰のせいですかっ、まったく。」

「あはは。でも、こうしてレリーアとも合流できた事だし一件落着だね。」


 探していた友達とは合流する事が出来た。

 ならば、問題は何もないだろう。

 その筈なのだが。


「一件落着か。良いのかい? わざと逃がしたウルフを追わなくて。」

「っ!?」


 その言葉に、再びレリーアが驚く。

 まるで、図星を突かれたかのように。

 それでも、すぐに表情を戻す。


「やりますわね。…安心してください、すでに動いてますわ。」

「えーと、どういう事?」

「ふふっ。つまり、そこのお嬢ちゃんは既に手を打っているという事さ。」


 自信気に指摘をするドッコイ。

 どうやら二人は分かっているようだ。

 そんな二人へとイリアが答える。


「手って何です?」

「勿論、反撃のですわ。」

「勿論、反撃のだね。」


 二人同時に口を揃えて答える。

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