第5話

上っている最中にも電マを投げつけ、イケメン騎士を妨害する事でようやくこの身を狙う刃物からは逃れることに成功。木の下でイケメン騎士が理解不明な言語で喚いている。多分降りてきて戦えとかそう言う事を言っているのだろう。異世界あるあるだ。


とりあえず一旦体力回復とその場をどうにか考える為の作戦タイムだ。




イケメン騎士はこちらに向かい手のひらを向けてモゴモゴとした口調で何かを喋っている。

まさか魔法か?と思った所でこちらに向けた手のひらから火の塊が颯爽と向かって来た。幸いこちらには直撃しなかったが体重を預ける木の幹は火の塊を受けて損壊。恐らく長くは持たないであろう、ミシミシと危機感溢れる音を立てている。とりあえずこの場を逃げ出す為に電マ召喚。


ええい、あっちに行け!と言わんばかりの振動電マをイケメン騎士の顔目掛けて投げつける。


振動した電マに、得体の知れない感を出しつつ剣を振り回してその身を狙う電マを弾く。次第に電マは辺り一帯にちょっとした群体となりつつある。再度バイブオーケストラの幕開け。側から見ればこの場は出来の悪いアダルトなビデオの範疇を超えて不気味と言わざる得ない怪現象の様だ。騎士もそこらかしこから地面を振動を発する得体の知れない電マを踏まないよう気を取られている。



そのうち足元に転がった無数の振動電マで盛大にズッコケた。ずっこけた所に偶々股間部分に積み重なる振動電マが炸裂。


「っん!?!?!?!?!」

とたんにぷっしゃーと地面に広がる水源。どうやら上手い具合当たったらしく悶絶している様だ。


「あっごお、お、おんおっんっ!?!?!?!?」


正直イケメンメンのそんな姿なぞ興味も無いしフェチズムもない。このチャンスを逃す手はなくすぐさまにこの場を後にした。グッバイボーイ


あの騎士に追いつかれないよう日中問わず森を彷徨い続ける。途中に川があったのが運が良い。水分補給が出来ないと恐らく疲労共にぶっ倒れていただろう。しばらくここに止まりたくなったが先程の騎士に見つかっては命の危険があるので水分補給後にすぐ様川を後にした。


しばらくすると丁度良い隠れられそうな洞窟を見つけた。もう夕方間際であった為に洞窟の内部にて身を休める事にした。その際洞窟内にて改めて自身の確認をする事にした。


わかったのが、自身の魔力の都合上大体30分が電マ具現化の限度の様だ。30分くらいを超えるとうっすらと消えてなくなる。ステルス電マかと思い電マがあった場所を触るが、何も無い。


だが何故か電マ自体は無尽蔵の如くひょいひょい召喚できる。周囲は再び電マだらけだ。非常にキメェ。

危機を脱したのも危機を呼んだのも電マであった為やや複雑である。

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電マで異世界を生き抜く @husque

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