第2話

地球の某アダルトなグッズなのかそれともただ単に肩などの筋肉をほぐす健康促進グッズなのかどっちなんだろう。それともこの世界では電マという何かの魔法事象でも存在するのか。まぁ物は試しだ、此処は何処とも知れない鬱蒼とした森だ。周囲には誰もいない。今こそ試す時だ。


集中して心の中で出よ電マと称える。すると目の前に電マがポコんと現れた。あっさりとした参上ぷりな事であったので電マはぼとりと質量のある音をたてつつ地面に落ちた。すると落ちた衝撃でなのだろうスイッチが入ったのか途端その場は爽快な振動音に包まれた。


割と強力なタイプの様で振動で地面をビクビクと跳ねまくっている。かなりうるさい。こんな物を股間当てよう物なら快楽よりも先に苦痛によって股間が壊れてしまうだろう。とりあえずけたたましい音を立てて目の前で賑やかにしている物を遠くに放り投げるが視界から消え失せても未だ遠くから甲高い振動音が聞こえる。JOの多い静かな住宅街で放したらどうなるのか少しだけ興味深い事象だ。


とりあえず10個ほど電マを召喚してわかったのが少し丁寧に念じると最初から振動電マ。すぐさまに念じると振動していない即席インスタントな電マとなった。Oh、no、まったくの役立たず。

尚振動した電マは電源を切ろうにも電源が何処にあるかわからない為、と言うよりか自分が電マ自体をここまでまじまじと見るのも初めてである為か停め方が分からずしょうがなく先程に放った方向にまとめて放り投げる事にした。

違った方向に投げると周囲が振動音につつまれて気が狂ってしまうのではと考えた結果だ。


召喚時間がいちおうに微妙に異なっている為に振動音もバラバラで放った場は振動音が共鳴して一種のバイブオーケストラ。とてもカオス。バイバーにはとても心地よい空間の事だろう。


とはいえどうしよう、神様から頂いたチート能力はどうやら電マのみで他は何も無い。そう何も無い。一般人の如くな一桁の数字が並ぶ様を見るととても強いと思えない。

と言うか一般人よりも雑魚ではないかと思ってしまう。小動物のタックルなど受けてポックリ逝ってしまわないよな。


今後の成長に期待したい所だが、下手したら39と言う年齢もあってか異世界一年生ながら、お先真っ暗。初っ端からナイフ以下のベリーハードモードだ。そも電マとは意味がわからない。なんで電マなんだよ。


童貞が異世界で電マなぞ持ってどうすれば良いのだろうか。こちとら異性と付き合った経験がないので使う相手も無いおろか使い所も使い道もまったくわからない。筋肉を癒すツールとして使わざる得ないかなとか考えていた所に電マで賑やかにしたのが良くなかったのだろうか、チャカチャカと音をたてて目の前の背丈より高い草むらから顔が凶悪かつ失礼ながらめっちゃブサイクな生き物が姿を現した。


コレは俗に言うゴブリンとか言う奴なのか。格好は服をつける習慣は無いとばかりな素裸でコーディネート。


唯一着用しているネックレスであろう首には彼のオシャレアイテムなのか何かの生き物の幾つもの頭蓋骨を紐で繋げたネックレスを着用。チャカチャカと音を立ててたのはコレだろう。


手には既に何かをボコしたのだろうか、血の乾いてまもない少しぬらッと半ツヤな跡でドス黒く変色している。初犯じゃ無いだろうことから、この手の輩は相応に手が早いと思われる。


歩く度にボロロンボロロンと揺れる棒状の某とキンO Oがモロ見え。下着の概念すらもないのだろう。メンズの性器なぞ見るのもごめんだ。咄嗟に視線を上方向へ。

こちらの姿を見るやニヤニヤといやらしい顔つきだ。恐らくこちらが何も持ってない一般市民な格好の為であろうか余裕がある標準だ。

こちとら木の棒すら所持はおろか手には石ころすら持ってない。暴力が支配する世界であれば自身は頭の弱い奴かあるいは自殺志願者か。


案の定ゴブリン?はぶっとい木の棍棒の様な物で殴りかかって来た。

襲ってくるのは想定内な為にすぐ様反転し逃げる為に全力で走り出す。

草むらをガサガサとかき分けての逃走は中々厳しく、丁度開けた広い場で直ぐに息が切れた。


「ぎゃびゃああ」


めっちゃ嬉しそうってか馬鹿にしている標準なのかわからないがブサ顔でも顔が笑顔極まりない。

体力的にも敵いそうないからこの場は電マを投げつけてどうにかしのごう。出よ電マァ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る