第16話 ニワトリ小屋を建てよう

 土地をくれる地の精霊ノームのおじいちゃんが来てくれたのは良いんだけど。散歩のしすぎで脱水しかけているらしい。プルプルと震えに震えている。

 これはかなり危険な状態なのでは。もー、ちゃんと水筒持参してくださいな、倒れちゃいますよ。て、注意してる場合じゃない。


 キッチンのピクシーに頼んで冷たい水を用意してもらって。


「ハイどうぞ。ジュースが良かったらそっちも作れますよ。リンゴとオレンジジュース、あと野菜ジュースも出来ます」


 トマト系の真っ赤なジュースと、ニンジン系のオレンジのジュースね。

 でもノームのおじいちゃんはおいしそうに水を飲み干すと「これで十分やわ」と満足した様子だ。


「で、お嬢ちゃん、また土地欲しい?」

「欲しいですっ」


 がっつくと、ふぉっふぉっと髭をゆらして笑う。


「今回は水を恵んでくれたからお礼ということで無料です」

「わーい、やったあ」

「しかもどーんと二倍ね。優しいお嬢ちゃんにサービスします」

「ありがとうございます!!」


 ほーらよっ、とノームのおじいちゃんが杖をどんっと突くと。

 俯瞰図に新たな土地が点滅。どこに広げるか選択できる。最初あった土地の広さが1ブロック分になるらしく、それが今回は2ブロック増やせる。囲むように増やすか、横長く伸ばしていくか……。


「じゃあ、前方に二つ広げるかな」


 選択すると、シュイーンと音がして、利用できる土地が広がる。これで正方形の敷地になった。


「ふぉっふぉっ。お嬢ちゃん、またね」

「はいっ、ノームさんも水分補給には、お気をつけて!」


 ふぉっふぉっ笑いながら、ノームのおじいちゃんはまた散歩の続きを始めるらしい。数歩進む後ろ姿を見送ると、シュンッと消えてしまった。


「さーて、かなり広くなったぞ。これなら、ニワトリ小屋三つ建てて、全色飼いもできるかも」


 って思ったんだけど。


「建設アイテムが足りない……掲示板、そっちで資材を集めなくちゃ」


 ニワトリ小屋を建てるにも、納屋と一緒でクギや木材が必要で。そのためには掲示板でキャラクターたちのリクエストに応えて物々交換しなくてはならなくて。


「ピクシー、ピクシー!! ジュースのリクエストが入ってんだけど、トマトジュース12グラス分だって。吸血鬼さんが欲しがってんのー」


 ぴー、くー、しー! と大わらわでトマトを絞るピクシーたち。何か悪いね。わたしもちょっくらコンポストいって堆肥作りしてくるよ。あれ畑にすき込むと収穫量上がるからさっ。急げ急げー。今日中に絶対資材集めて、ニワトリちゃん飼うんだからね!


 🍃


 ピロンッ♬


【ニワトリ小屋を設置しました】

【経験値がアップします】


 うひょー! ニワトリちゃんカワイイっ。今のレベル建てられる小屋サイズだと3羽が限度。でも十分じゃない。コッコ、コッコと元気に3羽鳴いとります。


「でもクエストクリアにはならんだね」

 と考えて。

「餌か!」


 ニワトリの餌はけっこう雑食だ。ヒナギクでもいいし、キャベツや小麦でもいいみたい。とりあえずヒナギクとキャベツを与えてみる。


【クエストクリア】

【経験値がアップします】


 ガッガッとヒナギクをついばむコッコちゃんたち。

 かーわーいーいー。

 もちろんこの子たちは可愛く愛でるだけのものじゃない。


【クエスト:小屋のタマゴを収集しよう】


 そうそうっ。タマゴですよ、タマゴ。

 タマゴが手に入れば、ピクシーのお料理レシピも広がるはず。

 タマゴを産むまで待機時間は2時間だって。ハア、楽しみだなあ。

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