第15話 アマチュア園芸家にランクアップ

 ピロンッ♬


【レベルアップ】

【レベル10になりました】


 おおっ、ついにレベル二桁になったあ!! 

 ……おやっ!


 初めて聞くファンファーレの音。パピュンパピュンとロケット花火みたいな音がしてキラキラしたテープが飛ぶ。騒がしさに、キッチンからピクシーたちが「ぴー?」「くー?」「し、しいぃ??」と飛び出してくるほどだ。


 ピロンッ♬


【ステータスが素人からアマチュア園芸家にランクアップしました】


 そういやレベルの横に:素人って表記してあったね。どれどれとウインドウで確認してみると【レベル10:アマチュア園芸家】に変わっていた。


「へーっ、これでわたしも素人脱出なわけか」


 正直、田んぼまでやってるからプロの気分でいたけど。このゲーム、なかなかシビアね。

 こてんと首をかしげているピクシーたちに「わたし、今日からアマチュア園芸家だから!」と自慢してみる。が、相変わらず「ぴー?」「くー?」「しぃいぃ?」と不思議がっていた。特にしーは眉間に皺まで寄せて悩みに悩みまくっている。


「ハイハイ、よくわかんないこといってごめんね。それよりみんなでジュース飲もうよ。あんたたち自分の好きに作って良いからさ。わたしはオレンジジュースね!」


 🍃


 アマチュア園芸家にランクアップしたけど、ひとつ気になっていることがあるんだよね。それはー…。


「園芸家だから仕方ないのかもだけど。育ててるの植物ばかりなんだよなあ」


 畑に草花や野菜、庭に果樹。種類も増えて、ずいぶん賑やかになったけど、育てるといったら他にも——。


 ピロンッ♬


【クエスト:ニワトリを飼育しよう】


 来たっ!! 

 これだよこれ、待ってました。動物!!


 ウインドウを確認したら、新たな項目が。家畜。


「ニワトリ、三色から選べるんだ」


 白に茶、それから黒。黒カッコいいじゃん!!

 あー、でも黒はいちばんコイン消費が高いや。一羽500コインだって。

 白は安くて50コインだから、10倍もする。ブラックたけえな。


 でも黒カッコいいから、三色一羽ずつ……と思ったんだけど、どうやら一つのニワトリ小屋には同じ色のニワトリしか飼えないようだ。だったら、最初だしスタンダードに白にすっかな。


 って、まずはニワトリ小屋と建てないといけないのか。スペースあったかな。俯瞰図を表示させて確認。うーん、やっぱギュウギュウだ。


「また土地広げたいんだけど、ノームのおじいちゃん、来てくれないかなあ」


 なーんて声に出したら。


「おーい、お嬢ちゃーんっ」


 外からお呼びの声が。はいはーい!!


「あっ、やっぱノームのおじいちゃんだ。こんにちは。あのですねー」


 さっそく土地交渉しようとしたら、テントウムシみたいに丸っこい体型の赤い三角帽の髭もじゃノームのおじいちゃんは、プルプルと小刻みに震えている。ついている木の杖もプルプルしていて、てっぺんに生えているキノコがもげそうになっていた。


「あんな、すまんけど。ワシ、散歩のしすぎで喉カラカラなってんの。お嬢ちゃん、水恵んでくれる?」


 あら大変。わっかりましたー!

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