第38話 仮免探索者みう《雑談》★

 食事中は雑談タイム。

 今日のお弁当の趣向とか、今どんなものに興味があるのかの発表などをした。

 

「実はー、最近探索配信以外にも追ってるチャンネルがあるんですよー」


:へぇ、どんなの?

:気になるー


「最近先生が固形食を食べても大丈夫だって許可が出たので、いろいろ食べて見たいなって。この間お兄たんと言った回転寿司屋さんで出会った人なんですけど。みんなはあすかお姉たんって知ってる?」


:だれ?

:探索配信以外は見てないからわかんないな

:どんな人か教えてもらえる?

:お寿司屋さんであったってことは大食い系?

:お寿司やで大食いメニューなんてあるか?

:たまーに企画やってるよ、何品食べられるかって企画

:そっちか


 みんなの頭にクエスチョンマークが浮かんでいるので、テロップにフルネームを流すも、やはりわからないみたいな反応が並ぶ。

 みうは自分がつけた呼び名で通す癖があるからな。


「えへへ、正解です! そのあすかお姉たんは食べ物を美味しく食べる人でした。お兄たんがフードファイターって括りで呼んでいたので、多分そう言う業界があるんだね。あたしも、ちょっと美味しいご飯に興味があるから、気になって追いかけてるんだー」


「最近まで流動食ばかりだったからな」


「そうなの! ドロドロに全部溶かされてるやつばかりで! でもお兄たんはあたしでも美味しく食べられるような工夫をしてくれてて! だからお腹が空いたらお兄たんに頼ってたんだけど、最近あたしの食欲が増えてきたのもあって」


「この前回転寿司デビューしたんだよな?」


「そうなんだー! お寿司だけじゃなくて茶碗蒸しに唐揚げ! おうどんやケーキなんかも食べたよ!」


:そうだよね! 回転寿司って楽しいところだよね

:安いってイメージばかり先行してて忘れてたな

:みうちゃんにはまだ美味しいお寿司は早いかー


「美味しい以前に食べ物のどれが好きか嫌いかも判別できませんから」


:そっか

:高いから美味いは普通に食べられる人のお話だもんな

:回転寿司かよって侮ってた。今はいろんなものを食べられるもんな

:わさび大丈夫だった?


「ツーンってしました! 涙もでちゃった」


:あれ、最初食べる時のインパクト大きいよね

:すっかり慣れちゃったな、おじさんは

:我慢できてえらいね!

:次からはサビ抜きにしてもらおう

@クマおじさん:最近寿司食ってねぇなぁ、たまには行くか

@威高こおり:みうちゃんはお寿司が好き。_φ(・_・

:こおりお姉たん;;

:そこ、プロファイリングすな


「合間にお兄たんがアイスとか頼んでくれたので、なんとか凌げました!」


:お兄たんえらい

:よく見てる

:行動予測の達人

:それは配信の随所から見て取れてる

:確かに


「でもお寿司は醤油つける前は生臭くて少し苦手だなって思ったのは、内緒だよ!」


:そっか、内緒か

:お兄さん抱える秘密が増えちゃったな

:ああ、最初は慣れが必要だもんね

:海外の方が魚を生で食べるって聞いて驚くアレと同じか

:普段から流動食なら臭みは大敵だもんね

:流動食のイメージが湧かないなー


「噛まなくてもいい食事だよ! お兄たん、映像出せる?」


「はいよー」


 こんな感じだとイメージ映像を乗っける。

 基本はペースト状で、そこに煮物なんかの味がのる。基本は単色の野菜のペーストだ、赤、緑、黄色とカラフルで興味をひきやすい。

 美味しいかどうかは人に寄るが、胃腸の丈夫な健常者には家畜の餌にしか見えないと言う意味でも有名だ。


:常に持ち歩いてるのか、用意が良すぎる

:うわ、こういうのか

:普段からこれを?

:回転寿司が美味く感じるわけだ

:お金がないと言うわけではないんだよね?


「いろいろ摘むにはこう言うお店がありがたいんですよ。少量で、食べれると思って取った後もお持ち帰り可能なお店ってなかなかなくて。特にみうはあれもこれも食べたいと言う好奇心が旺盛なので」


:ああ、わかる。興味本位で注文しても食べきれないとお店に悪いもんね

:みうちゃんくらいの子供だと、食べれないのに頼む傾向あるもんな


「食べれると思って頼んでるんだけどね」


:自分の食べられる量を把握しきれてないとそうなりやすいよね

:じゃあ、回転寿司ってそう言う子供を連れて行くには最適解なのかな?

:普段流動食で、固形OKって一番お腹の具合がわからないやつだ


「すごく楽しい場所でした! お土産もいっぱい持って帰ったよ!」


:それお土産ちゃう

:お残し

:🤫しー


「と、そこで出会ったのが件のフードファイターさんだそうで。ここ、赤無市近隣のグルメレポーターなんかをやってる高校一年生らしいです。その子にみうが興味を示しましてね、その方の行ったお店の料理を食べたいと」


 画面下のテロップにお店の情報を載せる。

 店舗背景と通常メニューの画像を順次乗っける。


:げ、デカ盛り店か

:そこのお店知ってるー、この前テレビにも出たよね

:お持ち帰りもできるから、複数人でつまむにはもってこいなんだよね

:あー、パーティ用メニューかと思ったら一人前のあのお店ね

:そこのチャレンジメニューに挑めるって、その子すごいな


「あたしもそれぐらい食べれる気になっちゃって、予約したんだよ。ねぇ、お兄たん?」


「お持ち帰りもできると言うことで、どれだけ無謀か知るためにも予約しました」


:みうちゃん、チャレンジャーがすぎるよ

:でも、今日のお弁当も結構な量があったし

:それを綺麗に平らげられるみうちゃんならワンチャン?


「チャレンジメニューも、みうの好きなもので固められてるから、完食できればいいなーって思ってるんだよな?」


「うん!」


 そう言って、画面端に食べるであろうチャレンジメニューを出した。

 ギガお子様ランチ(並)だ。

 恐るべきことに、メニューにはその上が存在するらしい。

 しかしチャレンジするにはまず(並)食べ切ってから出ないと詳細が明かされないそうで、志谷明日香は(並)を平らげた上で(大盛り)の挑戦をするも時間制限以内に食べられなくて大敗を喫していた。

 

 いつか必ずリベンジすると息巻いて、それを見たみうが自分も(並)を食べたいと言い出したのがきっかけである。


 なお、それなりに大食いを名乗れる大人でも厳しい量がそこには記載されている。


:え、この量を一人で?

:無理でしょ

:総重量5kgって

:大人5人前だよ?

:それを食べれる志谷明日香って何者だよ


「お兄たん、画像出せる?」


「あんまり勝手に宣伝するのもどうかと思うが、妹の推しと言うことで共有しときましょうか」


 俺は画面の端にチャンネル情報、所有SNSのアカウントなどを記載した。

 そこには実名と顔写真なんかが記載されている。


:意外と華奢なんだ

:みうちゃんと同年代?

:いや、でもさっき高校生だって


「あすかお姉たんはあたしと同じぐらいの背格好だけどこれをぺろりといっちゃえるんだ! だからあたしも行けるかなって!」


:お兄たん、止めてあげて

:これ無茶ぞ


「無茶でもなんでも挑戦はさせてあげたいんで止めません。ダメだったらダメで諦めがつくじゃないですか」


:それもそう

:自分の限界を知るにはいい機会か

:お金に余裕はあるからね

@威高こおり:満腹食堂ね_φ(・_・

:こおりお姉たんがストーカーじみてきちゃった( ・᷄ὢ・᷅ )


「その文字面白いですね! お顔に見えます!」


:おっ

:みうちゃんは顔文字初めて見る感じか

:これからはコテハンがわりに顔文字統一しようぜ

:それはいいかもね

:成り替わりはなしな?

:以降お兄さんはこれで行くぜ( • ̀ω•́ )✧

:私はこれで行くわ( ・᷄ὢ・᷅ )


「わー、いろいろあるんですね! それなら覚えやすいです」


:僕はこれで_(:3 」∠)_

@威高こおり:私はー

:スパナ貰ってる人が何か考えてらっしゃるぜ ٩(›´ω`‹ )ﻭ

:普通に『_φ(・_・』でよくないか? ( *˙ω˙*)و グッ!

@威高こおり:それいただきます!_φ(・_・

:真面目なのか、ふざけてるのかの判別難しいな_(:3 」∠)_

:まぁこれから慣れていけばいいっしょ(*´ω`*)

:それ( ・᷄ὢ・᷅ )


 みうはすっかり顔文字にご機嫌。

 そろそろ腹ごなしにモンスター討伐にでも行こうかと促した。


「時間が押してるので、そろそろモンスター討伐しに行こうか」


「え、もうそんな時間ない?」


 みうが慌てて準備をし始める。


「病室に帰るには少し早いが、早く収録終わったら満腹食堂行くんだろ? その分も含めて俺は行動してるんだよ」


「あ! そうだった。すっかり忘れてたよ。平日に行くのかと思ってた」


「この前、収録の後に行くっていってたろ? いっぱいお腹空かせてから行くって」


「言ってたね。なんか今日じゃないってつもりで動いてたや」


:忘れてたってしゃーない( • ̀ω•́ )✧

:まだ小学生だもんな٩(›´ω`‹ )ﻭ

:うちの子もこれくらいの時は結構こんな感じだったよ( *˙ω˙*)و グッ!

:それじゃあいっぱい食べるためにいっぱい動こうか( ・᷄ὢ・᷅ )


「うん! 頑張るよ!」


 こうしてみうの空腹を促す納品クエストが始まった。



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作品フォロー 1200達成(チャンネル登録者数)

★       400達成(高評価)

♡      3000達成(いいね回数)

PV   110000達成(再生回数)



「お兄たん! みて、すごい!」

「お、ついにチャンネル登録者数も1200人になったか」

「うん、あたし達のやり方が間違ってないってことだよね?」

「そうだな(一体どこで増えた? ギチギチに規制してたはずなのに。しかしまぁ、みうが喜んでるならいいか)やっぱり瑠璃さんのサブチャンネルの影響が大きいのかもしれないな。ほら、満腹スキルは魔法をも吸収できたし」

「あれか! 使うとお腹空くやつ(何か名案を考えた顔)」

「ピンチでもないのに使うのはダメだぞ?」

「えー(いいアイディアだと思ったのに)」

「そんなズルで完食したって虚しくなるだけだ」

「それもそうだね!」

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