第34話 当たりを引こう!クジ引き

数十分後。やっと私たちの番が回ってきた。やっぱり、クジ引きの前に立つと、胸がドキドキしてきた。目の前にはカラフルな景品がずらりと並び、その中にはぬいぐるみやお菓子、さらには特製のギフト券まである。

「さあ、誰から引く?」

陽斗が私たちを見渡す。

興奮が広がる中、みんなの顔が期待に満ちているのがわかる。

「せっかくだから、影ちゃんが最初に引いてみて!」

真知子が笑顔で言う。

私はドキドキしながら、くじ引きのボックスに手を伸ばす。さわり心地の良いくじの感触が手の中に伝わってくる。

「・・・引いちゃうよ!」

心の中でつぶやきながら、くじを一枚引き抜く。その瞬間、みんなの視線が集中する。

「これだ!」と声を上げつつ、引いたくじをひっくり返す。

「うーん・・・」

文字を確認する。なんと、「はずれ」と書いてある。

思わず肩を落としてしまうけれど、周りの仲間たちが優しい笑顔で励ましてくれる。

「大丈夫、まだまだチャンスはあるよ!」

星子ちゃんが肩を叩いてくれた。

次は輝が挑戦する。輝は自信満々な様子でくじ引きに挑み、引いたくじをすぐに開く。

「お、当たりだ!」

嬉しそうに叫ぶ輝の声が周りに響く。

みんなが拍手を送り、盛り上がる。輝は、お菓子の詰め合わせセットを選んで、満面の笑みを浮かべている。

「次はオレ」

鈴木が前に出て引く番。

彼も興奮気味で、あっという間にクジを引き開ける。

「またまた、はずれか…。」

でも、鈴木はあっさりとした反応で、すぐに笑顔に戻る。

夜野ちゃんが今回のターゲットに向かって進む。

「私が引いても、絶対に当たる!」

そんな意気込みでクジを引く。運命の瞬間を楽しみにしている。彼女の手は震えていた。結果は・・・

「当たりです!」

夜野ちゃんの声が弾んで、みんなの歓声が上がる。

「やったね、夜野ちゃん!」

嬉しそうに拍手を送り、興奮の渦に包まれる。みんなの暖かい支持が心に染みる。

次々と仲間が引いていく中、私も再チャレンジすることに決めた。心を込めてくじを選び、開ける。

「さあ、もう一度!」

結果は、またしても「はずれ」だった。

「影ちゃん、頑張って!次は当たりが来るよ!」

その言葉に刺激されつつ最後の一回に挑戦する気持ちが湧いてくる。

最後の希望を込めて、再び手を差し伸べる。

「絶対この子に決めた!」

引いた瞬間、仲間たちの温かい視線を受けながら、めくった瞬間に目に飛び込んできたのは・・・「当たり」の文字!

心臓が跳ね上がり、喜びの声を上げる。

「やったー!当たった!」

仲間たちも私のことを祝福してくれる。まるでこの瞬間が永遠に続くかのように、みんなで喜びを分かち合った。嬉しい気持ちが心の中を埋め尽くして、ショッピングモールの1日が最高の思い出になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る