第2話 練習、そして準備。
あの計画を立ててから2日後、4月18日。私は、放課後に輝の家から廃図書館まで走ったり、家のトランポリンでアクロバティックな動きの練習を頑張ってる。
今は、朝6時。
「影、朝ごはんだぞ」
まだパジャマ姿の私はお父さんに呼ばれて、家の2階リビングにあるイスに座った。前にある机には、朝ごはんが置かれていた。
美味しそう。
「いただきます」
私は手を合わせてから、朝ごはんである食パンを食べた。
私の両親は家の1階で、レストランを経営してるんだ。小さいレストランだけどね。
テレビには、ニュースが映ってる。
30分後、私はごちそうさまをしてから、自分の部屋で朝枝中学校の制服であるセーラー服に着替えた。
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朝7時。
「行ってきます!」
私は玄関で靴を履き、ドアを開けて外に出た。
外では、輝が待ってくれていた。
「おはよう、輝!」
「おはよう。影、前に18日に予告状を書くとかいってたな」
「そう!今日は予告状を書くんだ♪」
私たちは、学校に向かって住宅街を歩き始めた。
「あとは衣装だけど・・・」
輝が呟いた。
「そうだ!衣装!今日買いに行こう!」
私は衣装のことをすっかり忘れてしまっていた。
「えーっと、度数のないメガネは家にあるし、スーツも家にある・・・。あとは、シルクハットとマントだけ!」
「焦るな、時間はまだある。マントとシルクハットはオレが買っておいた。」
「ありがとう輝!あとは運動と、予告状を書くだけ!頑張るぞー!」
ふふっ
その時、誰かが影のことを見て笑った。
影たちは、もう1人の「怪盗になりたい」と思っている人物のことを、まだ知らない。
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「おはよう、真知子」
学校の教室に着いた私は、自分の席に座った。
「おはよー、影ちゃん。なんだか最近、運動を頑張ってるみたいだね」
う、運動!確かに頑張ってはいるけど、「怪盗シャドウ」になるから頑張ってるっていうのはバレてないよね?うん。バレてない、バレてない。大丈夫。
「ま、まあね」
私は一瞬、怪盗シャドウのことがバレたかと思った。いや、いつもより運動してるだけでバレるわけない。
今日の放課後は、予告状を書かないと。どんな内容にしようかな?
ワクワクする!
私は予告状の内容を頭の中で考えた。
10分後。
「おい、影!」
ずっと予告状のことを考えていた私は、誰かに呼ばれてハッとした。
「ーあんた、鈴木?」
目の前にいたのは、いつも私のことをからかってくるクラスメイトの男子・鈴木。
「なんでボーっとしてんだ、また『怪盗になりたーい』とか言うつもりか?」
鈴木が、そう言いながら私の机の上に座ってきた。
「ちょっと鈴木!私の机に座らないでよ!」
「やだね、降りない」
「先生に怒られるよ!」
私たちが喧嘩をしていると、先生が教室に入ってきた。
「ヤベッ!」
鈴木は慌てて自分の席に戻って行った。
「では、今日の日直は影さんと真知子さんです」
朝の会をしなくちゃ。今日は私、日直だった!
「影ちゃん、行こう」
私たちは教卓の方へ行った。
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時は進み、下校中。
私は、真知子と輝と一緒に通学路を歩いていた。
「『ダークスター』、早く捕まらないかな」
真知子が言った。
「大丈夫!悪いやつはきっと捕まるよ!」
私は返事をした。
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家に着いた私は、自分の部屋に行き、イスに座ると、勉強机の上に紙を置いた。
予告状を書くんだ!
・・・・。
「って、私、字書くの下手じゃん!パソコンで書いて印刷しよ!」
私はすぐさまパソコンを取り出すと、机の上に置き、電源を入れた。
えーっと、「予告状 4月23日の午後9時、サファイアを取り返しに行く 怪盗シャドウ」。
まあ、こんな感じでいっか!今度印刷しよっと!
私はそのまま、書いた予告状の映る画面を、しばらく見つめていた。
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