第1章 イチから怪盗やってみます!

第1話 計画

 放課後。

私は、家の洗面所で、自分の黒くて長い髪をポニーテールにしていた。

それから、お気に入りの三日月のヘアピンを前髪につけてっと。これでよし!

 今日もクラスメイトと揉めちゃった。

でも大丈夫。私には、真知子と佐藤輝がいてくれる。輝っていうのは私の幼馴染のこと。

私は玄関に行くと、靴を履いた。

「お母さん、行ってきます!」

玄関のドアを開け、私は輝の家に向かった。


###


輝の家の前で、私はインターホンを押した。今日は、輝と「ある約束」をしたんだ。

それは、サファイア「流星の夜」を取り返す(盗む)計画を立てる約束!

「影、待ってたぜ!」

輝が家から出てきた。私は輝の家の玄関で、靴を脱いだ。

「ほんとに大丈夫なの?」

「大丈夫!怪盗になりたいんだろ?オレが協力するからさ」

輝はそう言ってるし、憧れの「怪盗」として盗めるのは嬉しいけど、やっぱり、本当に捕まらないか不安。

「私が怪盗になりたいって言ったから。ちゃんとサファイアを取り返さないと!」

「よし、やるか!」

「うん!」

私は、輝の部屋に向かった。


###


ここは輝の部屋。

「怪盗、怪盗、怪盗・・・」

私は悩みながら部屋中をぐるぐる歩き回っていた。

「なあ影、いい名前思いついた?」

ベッドの上に座っている輝が、話しかけて来た。

今は、怪盗になった時の名前を考えてるんだ。でも、一向に思いつかない。

「影、影、影、影・・・。シャドウ・・・。あっ、怪盗シャドウっていうのはどうだ?」

輝が呟いた。

その言葉を耳にした私は、「これだ!」と思った。

「怪盗シャドウ?いいじゃんそれ!決定、決定!!」

シャドウかあ、影って意味だね。

「怪盗シャドウの名前の由来は月野影、お前だよ」

「よし、次はどうやって取り返すかだね!」


「「・・・・」」


私たちはしばらく沈黙した。

「影、お前なあ、どこに宝石があるかわかんないのに取り返すだなんて」

「忘れてた!そういえば輝、サファイアの隠し場所知らないんだった!」

私はサファイアの隠し場所を真知子に聞いたけど、輝は聞いてないんだよね。

「サファイアは『ダークスター』のアジトであるどこかの廃図書館に隠されてるって真知子が言ってたよ」

「真知子のやつ、それにしてもよく知ってるなあ」

「真知子の両親は警察官だし、真知子もよくニュースをみてるからだと思うよ。サファイアの隠し場所も知れたし、次は・・・」

「どうやって取り返すか、だろ?」

「そうそう、それ!」

輝はベッドから立ち上がると、勉強机の引き出しから、一枚の紙を取り出した。

地図だ。

「それ地図?輝すごい!そんなの用意しといてくれたの?」

「ああ。朝枝市の地図を印刷したんだ。『ダークスター』のアジトとかいう廃図書館は、もしかしてここのことか?」

イスに座った輝は地図を机の上に置き、「旧朝枝市中央図書館」と書かれた場所を指差した。

「旧朝枝市中央図書館?超近いじゃん!」

その廃図書館は、輝の家から10分くらいで行ける。

「まあ、ここが本当にアジトかは分からないが、朝枝市にある廃図書館といえばここだ」

「多分そこ!走っていけば良いかな」

「お前、体力あるもんな。で、次に決めることは?」

うーん。なんだろう?怪盗と言えば?

私は考えた。そうだ!

「衣装!どんな服装にするか決めようよ!シルクハットとか・・・」

「衣装かあ。どんなのが良い?」

私は輝に聞かれて、悩んだ。

「バラの飾りのついたシルクハットに、黒くて高い襟のマント、黒いスーツ!どう?」

「顔を見られても良いように度数のないメガネもな。あとは予告状と、いつ取り返しに行くかだ」

「予告状は私が書くよ。取り返しに行く日は、1週間後の、4月23日が良い!」

「ちょうど日曜日だな。良いじゃん」

「私はそれまでに、予告状を書くのと、アクロバティックな動きの練習をしておくね!衣装は、2人で集めよう」

「了解。今日はこれで解散かな」

「うん。またね、輝!ありがとう」

私は輝の家の玄関に行き、靴を履くと、外へ出た。そして、わくわくしながら家へ帰った。

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