第7話 二重人格

「必ずヴィランという組織を潰して、身勝手な罪滅ぼしを果たす...」


いつ果たすかなんて分からない。しかしそんなこと関係ない。1度決めたことは必ずやり遂げる。僕はそう心の中で決意した。





「村上。放課後学校裏の公園に来い。」


...またか。放課後に僕を呼び出して虐める。そして、学校裏の公園に呼び出す時は、集団である場合が多い。そのため、今日は少し危険かもしれない。また意図せぬ逆襲をしてしまうかもしれない。


「今日はすぐに用事があるから...」


「いやいや、多分すぐ終わるから。あと、別にお前を虐める訳じゃねえぞ。」


その言葉は、俺を来させるための嘘なのだろうか。まぁそれは、実際に行ってみないと分からない。


「...わかった」


僕がそう返事をすると、男は去っていった。





そして放課後、呼び出された公園にやってきた。すると、遠くには僕を呼び出した男と...


「紫苑...?」


何故か分からないが、そこには紫苑がいた。

その2人は、僕が来たことに気づくと、こっちに向かって歩いてきた。


「村上、ちゃんと来てくれたか。今日はこいつから話したいことがあるらしい。」


「紫苑から...?」


「あぁ、俺も要件は分からない。とりあえずそれだけ伝えたし、俺は帰るわ。じゃーな」


男はそう言うと、本当に帰って行った。あいつはなんだったんだ?


「...りっ陸くん。」


「どうした?」


「その、クラス替えしてから、私たちクラス別れちゃったよね...?」


「あぁ、そうだな。僕はEランクのまんまだし、紫苑のランクが上がったのか?」


「う、うん。実はね」


「そうなのか。おめでたい事だ。それで、何ランクになったんだ?」


僕がそう質問した瞬間...!?




「...なん..で...」


紫苑は僕に向けて銃を撃った。それも、ダメージの大きい腹部に。


「実は私はね、実力を偽っていたの」


「...偽っていた...?」


「そう。本当の実力は、Aランク」


「A...ランク?...どうして、実力を偽っていたんだ...?」


「それは、高ランクになるにつれて危険になるから。変な期待をされるから。それが嫌だったから、わざと手を抜いてEランクになっていたの」


「...それじゃあ、なんで今回のテストで...本気を出したんだ...?」


「それは、戦闘の楽しさを覚えたから」


「そう...か。それよりも、何故僕に銃を撃ったんだ...?」


「実は私、見ちゃったの。陸くんが腹部をナイフで刺されて、その後返り討ちにしているのを」


まさか、あの時兄さん以外にも見られていたなんて。


「その一瞬だけで、貴方の能力が何となく分かってしまった。その能力は、『二重人格』。きっと自分が危険な状況に陥ったら、もう1つの人格が出てくる。そうでしょ?」


あぁ。間違っちゃいない。紫苑は、頭も良かったのか...


「最近になって戦うことの楽しさに目覚めた私は、もう1人の陸くんと戦いたいって心から思った。だから、よろしくね?」


紫苑はそう言うと、俺にもう1発銃を撃ってきて、俺は意識が遠のいて行くのだった......


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る