第6話 ヴィラン

俺は少し遅れて学校に到着したのだが...


なんだかクラス中がざわついている。何かあったのだろうか。


「村上〜。こっちこ〜い」


何故か突然担任に呼び出される。この呼び出しとクラス中のざわつきは関係あるのかと思ったが、僕の方に視線を向ける人が少ないのを見るときっと違うのだろう。


昨日の件がバレている訳では無さそうだな。




「村上はホームルームの時いなかったから、今日ホームルームで話したことをお前にも話す。」


「分かりました。」


担任でさえも落ち着きの無い様子だ。もしかすると、僕がずっと感じていた胸騒ぎと関係があるのかもしれない。


「昨日の夜、突然とある情報が入った。」


「とある情報...」


「あぁ。その情報というのは、この世界に反逆するチームが現れたとのこと」


「...なるほど。」


「反逆者チーム。通称『ヴィラン』は、本当に実力のある人物のみで形成されていて、この世界の征服を企んでいる。そしてヴィランは、昨日の夜から行動を開始した。という情報が伝えられた。尚この情報はヴィランのリーダーが世界に向けて発信している情報だ。

俺も上の人からそう伝えられただけで、何故か自分からこのような事を言うのか、そして、その行動とは一体どのようなものなのかは全く分からない。」


「反逆者チーム...か。この物騒な世界が、より一層物騒になりましたね。」


「お前は本当に落ち着いているよな。少しは焦ったりしないのか?」


「あんまり自分には関係ないと思っているので。」


「そうか。それじゃ、伝えないといけないことは伝えたから。」


先生はそういい職員室へと向かっていった。


ヴィランは昨日の夜から行動を開始した...。そして、兄さんは昨日の夜から居なくなった...。もしかしたら、兄さんは攫われてしまったのかもしれない。

兄さんはとても強いが、ヴィランのメンバーも相当強いらしいし、夜であるため、兄さんの本気の実力は発揮できない。その結果、兄さんは攫われてしまったのかもしれない。僕の妙な胸騒ぎの理由はこれだったのかもしれない。だけども、僕にはどうすることも出来ない。ただただその推測は間違っていて、平然と兄さんが帰ってくることを祈るしかない。




今日の中で、クラスメイトは殆どヴィランの話しかしていなかった。僕のいるクラスは最底辺のEランクのクラスの為、「大丈夫かな...」とか「流石にこっちは負けないよな...」などといった不安の言葉ばかりだったが、Sランクの教室だったら、きっと自分がぶちのめすだとか、そんなことを考えているのだろう。


しかし、Eランクの中で1人、僕は燃えていた...この絶好のチャンスに...

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