第2話 能力値テスト
「な、何を言ってるんだ?やめておいた方がいいぞ。僕は能力が使えなくて...」
「だから何?友達になる上で、能力の有無なんて関係ない」
「確かにそうかもしれないけど、こんな僕と仲良くしていてもいいことなんてない。君も虐められてしまうかもしれない。」
「そんなのどうでもいい。そんなんで虐めてくるような人は、所詮弱いものいじめしか出来ない人ってことだから。」
クラス中に聞こえるようにそう言い、クラスメイトは少しビクッとしていた。こんなに僕と友達になろうとしているのに、断るのは少し可哀想だと思った。
「本当に君がそれでいいのなら、友達になろう。」
「ほんと!?やったぁ!私の名前は川上紫苑。気軽にしおんって呼んで!」
「わ、わかった」
僕と友達になれるのがそんなに嬉しいのだろうか。いや、もしかしたら僕を何かしらに利用しようとしているのかもしれない。面倒なことにはなりたくないから、少しだけ警戒することにしよう。
しかし紫苑は毎休み時間、明るい顔でこちらに話しかけに来ていて、とても何かに利用しようとしているようには見えなかった。もしかしたら、信用してもいいのかもしれない。
そして日は過ぎていき、あっという間に金曜日になった。
「そういえば今日は能力値テストだけど、僕たちはもしかしたらクラスが別れてしまうかもしれないね」
「いや〜、正直私の能力は全然使い物にならなくて、Eランク確定みたいものだから、多分同じだよ!」
そう笑顔で言ってくる紫苑、同じクラスになれるのを喜んでいそうなのは嬉しいのだが、僕のEランクは確定しているかのような発言は、少々傷付く。
まぁ、実際そうだから何も言えないが。
そんなこんなで、気がつけば6限目の能力値テストの時間になっていた。みんな少し緊張しているの様子だが、僕のランクはもう確定している様なものなので、なんの緊張もしていない。
これは噂で聞いた話なのだが、このテストではDランク相当の成績を出していてもEランクにされることが多いらしい。実際、Eランクのクラスの人数はかなり多く、Dランクのクラスの人数はかなり少ない。だから、Eランクのメンバーはそこまで変わらないのかもしれない。
「村上陸さ〜ん。四番室に来てくださーい」
この能力値テストでは、5つの教室に分けられ、効率よくテストを行う。その際見る項目は、使いやすさ、威力、その能力をしっかり扱えているか。この三つを採点し、その総合でランクが決まる。
とりあえず呼ばれているので、急いで向かうとしよう。
「はい、テストはこれで終了です。お疲れ様でした。」
試験官にそう言われ、四番室を後にする。まぁ、Eランクは確定だろう。
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