無能力者で学園最弱と言われていた僕は実は学園最強で...

ぷりず

第1話 無能力者

この世界を生きる人間は、誰しもが必ず能力を持っている。その能力には、様々な種類が存在し、能力の強さも様々だ。しかし僕、村上陸は能力を持ってないと学園中で噂になっていた。そんな僕に興味を持って見に来る人は大勢いる。しかしそれはとても良い意味なんかではなくて、見下すようなものばかりだ。それこそ、僕は学園で虐められていて...





「それじゃ、ホームルーム始めるぞ〜」


担任が教室に入ってきて、喋り出す。


「金曜日の6限目、能力値テストをする。そこでランクを再度出し、クラス替えをする。」


この学校では、能力値テストが度々行われるらしい。そして、クラスもそこで出されたランクを元に分けられており、下からE、D、C、B、A、Sランクとなっている。この学園に入学した際、1度行われているが、僕のいるクラスはもちろんランクE。ランクEは一番下のランクになるため、色んな人から下に見られることになる。そのため、ランク昇格のチャンスに、クラスメイトは燃えていた。



「せんせーいw村上くんは無能力なのにどうやってテストするんですか〜?w」


1人の生徒が、僕をバカにするように質問をする。周りからも、クスクスと笑い声が聞こえる。


「何度も言っているが、能力を持っていない人間なんていない。村上は自分の能力が分かっていないだけで、必ず能力は持っているんだ。」


「いやいやw自分の能力も分からないなんて、無能力者同然じゃんw」


その発言で、クラス中は大笑いに包まれる。


「いい加減にしろ!」


先生が怒鳴る。


「お前らは村上を散々バカにしているが、お前らもランクEなんだぞ?お前らは他人を見下せる身分じゃないんだよ」


「いやでも、俺たちは能力を持っているんだから、能力もまともに使えないこいつとは違くて...」


「いつまでも下を見て安心しているやつは、成長することなど出来ない。お前らみたいなやつは、能力を使えるようになった村上に大敗するんだろうな」


先生はそういい鼻で笑う。先生は、何故か能力が使えない僕を気に入っている。その理由は、先生も過去自分の能力が分からず使えない時期があったから。過去の自分と同じ境遇の僕をみて、親近感が湧いているのだろうか。




そうして連絡事項を使え、朝のホームルームは終わり先生は教室を出ていく。そして、1人のクラスメイトが僕に近づいてくる。


「ねぇ。」


僕に話しかけてきたこの少女は、1度も話したことの無い人。こういうのは大体、先生にバカにされたイライラを、僕にぶつけようとしているのだ。きっと、放課後校舎裏に来いだとか、そのようなことを言ってくるだろう。


「...あの、私と友達になってください!」


「......え?」


教室中に響き渡る声でそんなことを言う少女に、クラスは静まり返った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る