第22話 先輩の後輩

こちらが無傷とはいかないが、大井先輩をモノにしてからまたしばらく後。


恐らくだが、ここからが難易度がさらに上がるであろう別のタイプを狙い始める。


そう。『共依存型』だ。


本にある攻略法を見ると、このタイプは自身に確実に惚れさせることが重要とのことだ。


いくら依存しがちなヤンデレとはいえ、魅力を感じない異性にまで寄りつくことはない。


それこそ見た目がドストレートとか直感で好きとかにならない限りはね。


ただ…ここまで来るとそろそろ3人の監視網に引っかかる可能性が高くなる。


ただでさえ神出鬼没の1人目、交流関係鬼の2人目、自宅掌握の3人目。


一か八かである手段を取ることに決める。


『あー、先輩。一つ相談が』


『うん。うちの後輩紹介するよ。あ、一応言っておくけど彼女も幸せにしなよ?』


『えーと…話分かってます?』


『うん。ヤンデレ化させたいんでしょ?学内でこれ以上動くと他の二人に感づかれるだろうし』


『独り言するもんじゃないですね』


『ふふ。祐君の秘密知ってるのうちだけってのがたまらないね』


『ははは…』


そう。俺の癖を知ってか知らずか先輩は独り言を一言一句メモしてるらしい。


それで俺がしたいこと、好みな子を把握した上で提案してる…ようだ。


『じゃあとりあえずその子に会う機会を作ってくれませんか?流石に初めからサシだと警戒されそうなので先輩込みで』


『ん。いいよ。なら今度の土曜駅前に』


よし。先輩に対してはここ最近従順にしてるから基本何でも許してくれる。


謎にヤンデレ1人目と2人目のケアにも協力してくれるし、願ったり叶ったり。


とりあえずとのことで、今度会う子の特徴と好きなこと等をリストをPDFでもらう。


このあたりはゲーマーならではだよね。


攻略法と見出しにしてるし。


『好きな男性タイプ』


その①は『よく食べること』

料理を振る舞ってくれるので美味しそうに食べるとよし


その②は『一途なこと』

当然としてね


その③は『依存し合えること』

同じくらいの熱量で好きにならないとだめ


その④は『付き合ったら結婚する気持ちがある人』

結婚しないなら付き合う意味ない


他にも細かいところはいくつかあったが、見出しで気になるのはこれくらいだ。


大体予想の範囲内だが、料理をしてくれるのはポイント高いな。


これらを元に先輩と作戦会議をした俺は次の土曜までひたすら脳内シミュレーションをしていた。

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