第17話 日陰

違う意味でひやひやした一件の後。


俺は大学で次のターゲットを物色していた。


ヤンデレ本の中にある『監視型』の子がいないかどうかをね。


監視されるにはある一定以上の好感度が無いとまずされることはない。


今まで相手してきた二人よりも難易度が高いため、相手に惚れてもらわないと。


基本的に束縛が強く、それなりにネットリテラシーが無いと機材含めて用意もできないしね。


相手を四六時中見ていたいと思わせるには何かしらの癖もしくは琴線に触れることが大事とのことなので、条件に見合う子を探す。


と言っても簡単に見つかるなら苦労はしないが。


そんな風に考えていると春香から興味深い話を聞く。


何でもゲームサークルというところではお互い素性を明かさないで声だけでやり取りする子もいるとか。


相手の顔を見ないということは声だけで判断をするってことだし、もしかすると癖に刺さる可能性もある。


早速紹介をしてもらい、俺はゲームサークルに仮体験として入ることになった。


後日、サークル部屋に通してもらい、そこのリーダーさんとは対面で会うことに。


「はじめまして。安達祐と申します。笹木さんの紹介で来た者です」


「はいはい。君が言ってた子ね。飲みサーにはお世話になってたしいいよ」


「お世話ですか?」


「うん。私こう見えて遊ぶからさ。男に困らなかったし。にしし」


あー。同類ってことね。


「そっすか…えっと。ここのサークルでは対面しないとか聞きましたけど本当です?」


「そうね。まぁ強制じゃないけどわざわざこの部屋に来る子は比較的少ないかも。だから小部屋を借りてるわけだし」


「なるほど。何か理由あるんですか?会わないってことは事情抱えてる人が多いとか」


「うーん…あんまり言えないけどコミュニケーション能力に欠けるって子もいれば、ネットだけの交流が欲しいって子もいる。後は配信とかネット活動してる子もいるから身バレされたくないとかもあるらしいよ。私は別に特定趣味無いからどうでもいいけど」


「何となく分かるような」


「でしょ。だから安達君もどっちでもいいよ。対面したいなら部屋来れば誰かしらいるしね。あと、サークル内では自分の好きなゲームしてもいいし、共通でやってるのもあるから適当にどぞ」


「ありがとうございます。なら、基本オンラインでいます。少し事情があるので」


「ほう?君もわけあり?」


「まぁ…」


2人堕ちてる子に狙われてるとは言えまい。


「深くは聞かんよ。ならそうね…とりあえず皆やってるこのゲームどう?日常+普通に戦うMMO風オープンワールドだけど入りやすいかなって」


「あんまり詳しくないですけど、キャラデザいいっすね。皆さん入ってるんです?」


「うん。新作出ないときとかダベる時に集まってるね」


「ならこれから始めてみます」


「おけ。軽くうちのサークルメンバーの名簿というか自己紹介シートみたいのあるから、合いそうな人にフレ申請してみ?一応絡んでもいいよって子は公開してるから」


「感謝です」


メールでPDFをリーダーさんからいただき、目を通す。


お、この子はいいのでは?


早速目星をつけて、帰宅した。

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