#07 ジョン・ディクスン・カー『妖魔の森の家』
ジョン・ディクスン・カーは不可能犯罪ものばかり書いていますが、その中でも特に評価の高い一作が短編の『妖魔の森の家』です。エラリー・クイーンも大絶賛していたとか。
ヘンリー・メリヴェール卿は、20年前の少女失踪事件について相談を持ち掛けられます。密室状態の家から少女が失踪し、一週間後にはまた密室状態の家に何事もなかったかのように帰ってきたのだとか。そこで、ヘンリー・メリヴェール卿と相談者たちは当時少女だった女性と現場の家にピクニックに行くのですが、また新たな事件が発生してしまうのでした。
20年前の密室トリック自体は大したことはありません。しょうもないと言っても良いレベルです。ただ、ストーリーがめちゃくちゃ面白い。20年前のいたずらに端を発する話のオチがこうなるとは! 鳥肌ものです。カラッとしたユーモアから残酷な真実に至る手つきがスムーズで、満足感が半端ない。
伏線も無数に張られており、わかりやすいものもあれば一読しただけではわからないものもあります。本格ミステリーのお手本とでも呼ぶべき完成度で、短編ミステリーの歴史に残る作品です。
次回は、ようやく国内ミステリーに行きます。横溝正史の『本陣殺人事件』です。
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