第7話 不穏な夜
「いやーごめんごめん。まさかこんなに早く帰ってくると思わなかったからさ」
リビングの椅子に腰かけて缶ビール片手に世界一誠意のない謝罪をロイスは眺めた。
あれから3時間ぐらいしてやっと帰ってきた
「それで、初めての学校はどうだった?護衛対象は見つかったのか?」
「……白々しいですね。
「お、意外と頭が切れるじゃん。もしかしてもう会った?」
「ええ、
「なら話は早いじゃん。灯台下暗しってね。
ウインク付きのGOODサインを投げる
「それでどうよ件の
「……はっきり言って難しいでしょうね。彼女人といるのが苦手なタイプっぽいですし。まあ、なんとか良好な関係になれれば御の字ですが……。今のところは気づかれないよう遠目で護衛するのがベストかと」
「あー、やっぱり友達いないタイプか。美人過ぎると浮いちゃうしね」
「それで、便利なのがこれってわけだ」
「これは対象、つまり
「これってビーコンっていう発信機ですよね。いつの間に付けたんですか?」
「知ってるの?」
「昨日貰ったこのスマホとやらですぐ調べられますからね」
「……昨日手に入れたばかりのくせに順応性高すぎないかお前?」
「それより、一つ教えてもらいたいことがあるんですが」
「なんだあらたまって」
「昨日、僕を連れ去ろうとした奴らのことです。確か
ロイス(
「ああ、
「異分子の排除?」
「
「認めないと言われても実際あるわけなんですが……」
「奴らにとってはそれが許せないことなんだろ。だからこの世界にハナから存在しないものはことごとく排除しようとするわけだ。あいつらはその排除する役割をもったやつのことを
「そもそも、今回の任務は
「私らのように国から特命を受けて動いている組織はもちろん任務のスムーズな遂行の為なら異世界人を利用するのを躊躇わないある意味柔軟な組織だ。しかし、全一教会は例外は一切認めない頭の固い連中でね。この世界の住人の異世界拉致の危険があってもそれはこの世界の人間だけで対処すべきというお考えなのだよ」
「まあ、相いれない関係性なのは分かりました。しかし、何故その全一教会の異界審問官?は僕が異世界から転生したって分かったのでしょうか?見た目はこの世界の人間だからバレることないと思うのですが」
「それについては私も全く分からん。可能性があるとすれば私たちのやり取りが奴らに抜かれていたことだが、それは私のミスになるので考えたくない」
「……ちょっと」
「もしくは奴らの中に異世界人を見分ける能力を持った人間がいる可能性もあるけど、それもあったらあったで困るのであまり考えたくないな」
「いや、考えたくないって……、どうするんですか、また僕が襲われる可能性があるってことでしょう?」
ロイスは
「用心することに越したことはないが、しばらくは全一教会からの目立った動きはないはずだ」
「どうしてです?」
「
「なるほど、元老院に目を付けられたみたいな感じですね」
それにしても全く安心はできないとロイスは思った。表立って動けないだけで
「……そういえばさっきから気になってたんだけど、そのスライムみたいなのなに?」
「これですか?これは
「だと思いますだあ?」
ロイスは
「ふーん、なるほどな。それ、
「?別にいいですけど」
「サンキュー」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「しっかし、あのブタともれとの野郎くっそムカつくわ!」
「それと
夜の9時頃、高校近くのファミレスで
「てか、
ぎゃーぎゃー騒いでる取り巻きに目もくれず
「あ?そーだな」
「
その時、
「おい、決まりだ。明日やるぞ」
「?やるって何をやるんだよ?」
「明日、
それを聞いた
「大丈夫だ。やるのは俺らじゃない。俺の言うことを聞いてくれる優しいお兄様方がいるんだよ。くくくっ」
「手順はこうだ。まず、
「うわw
「いやいや、因果応報だろ。いままでなめた態度取った当然の報いってわけ」
「でもさ、DM送ったくらいであの
いかにもギャルっぽい女生徒が疑問を投げかける。
「それが絶対に奴が無視できない殺し文句があるんだよ。まあ、見てなって」
「二度と生意気な口聞けなくして俺らのおもちゃにしてやるよ」
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