私の実家 4

私の家の食器は、音を立てる。

ひとりでに…


いつも音がするのは食後の片付けが終わった後。

みんながテレビをみながら過ごしているとき。


ガシャンッ!!


皿の落ちた音がする。


初めは、食器を重ねて乾かしているカゴの中で食器がズレて食器とあたった音なのだと考えていた。


ある日、食器の音がなったので様子を見に行ってみた。


重なった食器は、崩れることもズレることもなく元の位置にあった。


えっ?じゃぁ、どこから?


私は食器棚やら音の鳴りそうな場所をみて回ったが、

これと言って不思議な事は起こらなかった。


だが、その日から毎日の様に皿が落ちるような音がするようになった。

その都度見に行って確かめるが、何か起こった様子はない。


そして一番気になったのは、母の反応だった。

皿が落ちるような音がしても見に行く事は無かったのだ。


そして、皿が鳴り始めて幾日か経ったある日。

その日も皿はなった。


私は急いで母のいる方へ行き、


「お母さん!皿が!」


母は、皿の置いてあるカゴに目を向け。

一言。


「うるさい!!」


そう言い放った。

私は、その姿を口を開けてみることしかできなかった。


私へ向き直り母が言った。


「生きていようが死んでいようがコソコソ嫌がらせしかできないヤツはほっときなさい。かまえばかまってくれるんだと思ってやめないんだから。」


私はその日から、音に対して気にしないようにしていた。


いつの間にか音はしなくなっていた。


終わり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る