第3話 例の絵
館長さんに案内されて入ったのは1番奥、[特別展示室]と書かれた部屋。
色とりどりの絵画の1番奥にその絵はあった。
「こちらの絵です。大賞を得るに相応しい絵だと思いませんか?」
「うわぁ...凄い...。」
紅葉彩る宵闇に浮かぶ灯篭に湖、そして大きな大きな月。
とても高校生が描いたと思えないような大胆な構図と緻密な筆遣いの風景画。
芸術というものにあまり関心がなかったボクでもわかる。
この絵は、すごい。ついまじまじと見てしまう。
「こちらの「絵」に、本来描かれていない[人]が見えると職員の間で噂になりまして。
しかもその絵の中の人の位置が変わっている、と。
流石に私もイタズラかと思い監視カメラを見ましたが異常は無く...。」
「なるほど。それでこちらに相談されたのですね?」
「はい。そうです...。授賞式もありましたし、早く一般公開をしないと多方面からクレームが入りますので...。」
「なるほど。それでは早速調査に入らせて頂きます。」
「ありがとうございます。よろしくお願い致します。」
深々と頭を下げて去っていく館長さん。
本当にいい人だな...。
「さて、頼まれたからにはお仕事をやりますかぁ!」
霊力と共に視てみるが問題も人影もなく、ただの絵のまま。
こりゃあ長期戦になりそうだな、と思うと早速エアベッドの用意をするのであった。
八咫烏異聞 「展覧会の絵」 いむ @imu3
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