第12話:アンブレラの癒し。
ある時、天気君は大学で、友達と意見が合わなくてトラブった。
傷ついて、かなり落ち込んだ。
人とのコミュニケーションは難しい。
天気君はあまりメンタルが強いほうじゃなかったからショックを受けていた。
そして、ちょっとした傷とわだかまりを引きずったままマンションに帰って来た。
精神的打撃は体にまで響く。
玄関を入った天気君は、上がり端に疲れたように腰掛けてため息をついた。
「おかえり、天気・・・」
そう言ってアンブレラは、背中を向けてる天気君を覗き込んだ。
「ん?どうしたの?・・・また心臓が苦しいの?」
元気がない天気君の様子を見てアンブレラは心配した。
「天気君・・・大丈夫?」
「なんでもないよ・・・アンブレラには関係ないことだから・・・」
「関係ないって・・・天気君・・・」
「どうしたの?顔色も良くないし・・・大学でなにかあったの?」
「関係ないって言ってるだろ」
「放っといてよ・・・一人にしておいてくれ・・・」
よほど落ち込んでるのね・・・いつもは優しい天気君なのに、今まで
私にそんなクチの訊き方したことないのに・・・ってアンブレラは思った。
「ねえ、話して・・・なにがあったの?」
「そんな天気君、見たことないもん・・・」
「私、心配なの?」
「心配?・・・君には分からないよ」
「天気君のこと大事な人だって思うから心配してるの」
「嫌なことあったら私に話して、少しは楽になるよ」
「だから、いいってば・・・」
「君に話しても、余計気分が悪くなるだけだよ」
「お願い、なにがったかだけでも話して、ね?」
「・・・・・」
天気君もそこまで
に話した。
「え?・・・なに?ゲームのことで意見が食い違って揉めたの? 」
「ゲームで?」
「そうだよ、ゲームだよ・・・いけない?」
「いけなくはないけど・・・」
「最終的におまえなんか死ねって言われた」
「生きてる価値ないって・・・おまえとは絶交だって・・・」
「まあ、絶交はこっちから望むところだけど・・・」
「人に、死ねなんてよく言えるよ・・・生きてる価値ないなんて」
「それ、ひどいね言葉の暴力だよ」
「そんなこと言う人とはもう話さなくていい、絶対許せない 」
「価値観の違う人とは、どこまで行っても噛み合わないもんだよ 」
「可哀想な天気君」
そう言うとアンンブレラは天気君を優しく抱きしめた。
「私が癒してあげるね」
そう言うとアンブレラの体から徐々に光があふれだした。
「え?・・・なに?・・・なに?この光?」
「黙って・・・そのままでいて」
アンブレラの体から溢れたオーラは天気君を優しく温かく包み込んだ。
ふたりは光に包まれたまま、ひとつの塊になった。
まるでアンブレラと天気君が同化したみたいに・・・。
それはエルフが持つ癒しの魔法だった。
「アンブレラ・・・」
「大丈夫・・・大丈夫だからね・・・」
「体の力を抜いて・・・そのままソファで眠って・・・」
天気君は催眠術にでもかかったみたいにそのまま眠りに落ちていった。
アンブレラの手を握ったまま・・・。
天気君が目覚めたのは次の朝だった。
気分的に落ち込んでた天気君だったが目覚めてみると何事もなかったように
気持ちがすっきりしていた。
体の疲れもすっかり取れていた。
(アンブレラのあの光のせいだ・・・)
天気君が目覚めたことに気づいたアンブレラが彼のそばに来た。
「天気君、目が覚めた、気分どう?」
「不思議だね・・・・昨日のことなんか何もなかったみたいに元気だよ」
「アンブレラのおかげだね・・・」
「よかった、私の気持ちと魔法が通じたんだね」
「夕べの癒しの魔法は誰にでも効くわけじゃないの」
「どういうこと?」
「あの癒しの魔法は赤の他人にはあまり効果はないんだよ」
「赤の他人?・・・・」
「僕は赤の他人じゃないの?」
「うん、そうだね、ちゃんと効果があったってことは他人じゃないってことだね 」
「え?え?どういうことかな?それって?」
「だから、そういうこと・・・」
「私と天気君は結ばれたからね・・・だから魔法の効果がでたんだよ」
「ああ・・・そうなんだ」
「でも元気になってよかった」
「今の私は天気君の想いを、ちゃんと受け入れることができるし、そうすること
が、私にとって一番いいことだって思うの」
「好きだよ、天気君・・・ただ好きって言うんじゃなくて好きって気持ち以上に
好き・・・分かるでしょ?」
「ああ、分かるよ、僕も同じだから」
「アンブレラ・・・」
アンンブレラは天気君の、そばによると彼のクチビルにそっとキスをした。
この流れで行くと・・・今夜もってところかな。
つづくかも。
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