第8話:アンブレラの脈あり発言。

アンブレラに好きな魔法使いがいるって言われて、それを聞いて

天気くんは飲みかけのコーヒーを「ブシャ〜〜〜」って思い切り吹いた。

で、今度は思いっきり、コーヒーを気管に吸い込みそうになった。


「ヒュ〜〜〜〜、おえ〜・・・ゴホッ・・・ゴホゴホ・・・グエッ・・・」

「ゲ〜ッ・・・ゴホッ・・・・ゴホ・・・あ〜苦しいいいいゲフッ」


「天気君・・・天気?、大丈夫?」


アンブレラはびっくりして苦しんでる天気くんの背中をタンタン叩いた。


「ちょ、ちょっと待って・・・いき・・・息・・・吸うから・・・」


天気くんは吐いた息を思いっきり吸った。


「あ〜あ〜・・・まじ死ぬかと思った・・・誤嚥性肺炎になるかと思ったわ」


「ごめんなさい、冗談が過ぎました・・・ほんとごめんなさい」


「え?〜冗談?・・・そうなの?・・冗談なの?・・・今のまじで?」

「冗談で窒息して死んだらまじカッコ悪いからね、もう」


「・・・じゃ〜イケメンの魔法使いって?」


「そんな人いるわけないでしょ・・・からかってみただけ」


「もう、脅かすなよ・・彼氏がいるって聞いた一瞬絶望感ハンパなかったわ」

「それにしてもさ、アンブレラそんな冗談言ったりするんだ・・・」


「天気君が真面目だから、ついからかってみたくなっちゃって」

「ごめんね」


「なんだよ、それ?」


「ごめん・・・笑いも必要かと思って」


「そんな心臓に悪い笑いいらないよ・・・」


「あははは・・・あは・・・」


「笑い事じゃないって」


「ごめんね・・・じゃ〜天気君を驚ろかせたおわび・・・」


そう言ってアンブレラは天気くんをハグした。


「およよ・・・そんなことされたら、僕はどうしたらいいんだよ」

「抱き返せばいいの?」

「いきなりハグって・・・エルフってそんなにフレンドリーなの?」


「あ、ごめん」


「さっきから謝ってばっかだよアンブレラ」


「そういう訳じゃ・・・ハグしたのは天気君だからだよ、誰にでもそんなこと

してるって思わないでね」

「大好きな人にしかしないから・・・」


「あ、脈あり発言・・・でもさ、その発言は罪だよ・・・」

「僕に気があるんじゃないかって勘違いしちゃうだろ?」


「だって脈ありだもん」


「まじで?・・・その言葉受け止めていいの?


「うん、いいと思う・・・嘘偽りなく私、天気君に恋してると思う」


「そうなんだ・・・その言葉聞けてよかった」

「じゃ〜僕もはっきり言っちゃうけど・・・僕もアンブレラのこと愛してる」

「めっちゃ嬉しすぎて、今日大学休もうかな」


「嬉しいけど、ダメだよ・・・ちゃんと学校は行ってね?」

「私たちのことと学校は別」


「分かった・・・大学は行くから・・・

暇かもしれないけど、テレビかDVDでも見ながら時間潰してて、なるべく

早く、いつもより早く、超特急で帰ってくるからね」


「それとスーパーに買い物行くのはまだ早いと思うから・・・勝手に行っちゃ

だめだよ・・・外に出たら迷子になるよ」

「少しづつ生活に慣れていけるよう僕がエスコートするからね・・・」


「それから・・・」


「分かってる・・・天気君、それも毎日同じこと言ってるよ」


「あと一個だけ・・・誰も来ないと思うけど、誰か訪ねてきても出なくて

いいからね」


「それ、一昨日も昨日も聞きました・・・耳タコ」


「復習、復習・・・じゃ〜大学行ってくるから・・・」


「行ってらっしゃい、気をつけてね」


「・・・あの、それから・・・」


「まだなにかあるの?」


つづくかも。

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