第7話:いますよ超イケメンの彼氏が。

「天気君、起きて・・・お〜き〜て〜」


って、可愛い優しい声で起こされるのが今の天気君にはすごく心地いい。

たぶんこれが母親が起こしに来たのだったら、天気君はめっちゃ機嫌が

悪かったにちがいない。


つい最近まで目覚まし時計の音しか聞いたことなかった天気くんは朝、

目覚めることが楽しくてしょうがなかった。

そりゃそうだよね・・・可愛いエルフの女の子に、お世話されるって

それだけで愛おしくなちゃうでしょ。


だから天気君はこの時点で、アンブレラに完全にイかれてたんだな。

いやいや、そもそもはコスプレイベントでアンブレラを見たときから

天気君はアンブレラに魅せられて心は上の空だったんだ。


天気君は、とりあえず顔洗って歯も磨いて・・・代わり映えしない自分の

顔見て髪を整えてナルシストな気分になって、でキッチンテーブルへ。


「おはよう天気君」


「おはようアンブレラ」


「大丈夫?お目目覚めた?」


「気持ちよくね・・・君こそよく眠れた?」


「うん・・・」


「ん?眠れなかったの?」


「大丈夫、最近はよく眠れてるよ」


「そう・・知らないところで不安あるかもしれないけど慣れてね」

「君がホームシックにかかってないか毎日心配でさ」


「だってもう一ヶ月近く過ぎてるんだもん、いくらなんでも毎日泣いたり

しないから・・・」


「だけど、それ毎朝、気にして聞いてくれるね?」


「アンブレラが落ち込んでたら可哀想と思って・・・」


「ありがとう・・・優しいね天気君」


「あ、いや〜知らないところに来てるんだから不安かなって思って」

「僕が逆の立場ならめちゃ不安だから・・・心配するのはあたりまえだ

と思って・・・」


「ありがとう・・・はいコーヒー」


「あ、ありがとう・・・この間までひとりでコーヒー入れて寂しく飲んでたからな」

「アンブレラが入れてくれるコーヒーは僕の入れたコーヒーより何倍も美味しい」


「そうお?・・・中身は変わんないよ」


「それは違うよ・・・味だけじゃなくて気分的な問題」


「愛情たっぷりコーヒーに注いておいたから・・・」


「は〜・・・エルフでも、そんな冗談言うんだ・・・」


「冗談?・・・まあ、たしかにそのセリフはよく聞くよね・・・」

「あと、トーストにスクランブルエッグにベーコン・・・食べてね」


「毎日、毎朝お手伝いさんみたいなことしてもらってごめんね?」


「大丈夫だよ、お料理好きだから私・・・楽しいよ」

「私こそ、天気君ちに押しかけちゃって、こんなにのんびりさせてもらゃって

ごめんね」


「アンブレラも・・・それ毎日言ってるよ」


「そうだっけ?」


「いいんだよ気にしなくて・・・むしろ僕が好きで君に居てもらってるんだから」


「え〜?そんな〜・・・照れちゃう、もう」


「え?・・・照れるって?・・・なにが? 」


「いま、私のこと好きって?・・・言ったよね、好きって」


え?・・・すげえ、勘違い・・・アンブレラのことを好きって言ったわけじゃ

ないのに。


「うん、まあ、そうだね・・・僕アンブレラのこと好きだし・・・」


(最初に会った時から僕は君にメロメロなのは否定できないし・・・)


「私を助けてくれたことは感謝してるよ」

「あの、こんなこと言うと、軽い女だと思われやしないかって心配なんだけど

私も天気君に好意持ってるよ」


「いや〜僕んちにいるからって無理しなくていんだよ」


「まだ天気くんちにお世話になって一ヶ月しか経ってないのにそんなこと言うのは

不謹慎かと思って・・・」


「そんなの関係と思うけどな・・・自分に素直でいいと思うけど」

「誰かを好きになるのに会ったその日に心が奪われることだってあるだろ?」

「それが証拠に僕は最初アンブレラにコスプイベントで会った時にもう君のこと

好きになってたもん」


「それはなんとなく分かってました、天気君分かり易い人だから」


「分かり易いって・・・」


そう言いながら天気くんはアンブレラが入れたヒーヒーを飲み始めた。


「あのさ、ひとつだけ聞いておきたいことがあるんだけど・・・」


「なに?」


「あの・・・アンブレラって向こうの世界に恋人とかいなかったの? 」

「好きになった子に、すでに彼氏がいるって話はよくある最悪のパターン

だからさ・・・」


「あ〜それね・・・いるよ、超イケメンの魔法使いが・・・って言ったら

天気くん、どう思う?・・・ショック?」


それを聞いて天気くんは飲みかけのコーヒーを「ブシャ〜〜〜〜」って

思い切り吹いた。

で、今度は思いっきりコーヒーを気管に吸い込みそうになった。


つづくかも。




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