第9話:私、心の準備できてるよ。

「行ってらっしゃい、気をつけてね」


「・・・あの、それから・・・」


「まだなにかあるの?」


「あの、僕たちもう恋人同士って宣言したのと同じだよね?」


「うん、だね」


「だったら行ってらっしゃいのチューとか欲しいんだけど・・・ダメかな?」


「チュー?・・・いいよ」


でもって天気君はアンブレラにいってらっしゃいのチューを、もちろんクチビルに

もらってウハウハで大学に行った・・・


結局アンブレラはここで天気君と一緒に暮らすことをすでに決めていた。

もしアルモースに帰れる方法が分かったとしても、もう故郷には帰るつもりは

なかった。

故郷への気持ちより好きな人と一緒に暮らすことを選んだのだ。


天気君は今日はウハウハで大学へ行ったが、時々疲れるとかしんどいとか言って

大学を休む時があった。

最初はアンブレラは天気君がサボりたくて大学を休んでるものとばかり思っていた。


でも実は天気君は子供の頃から心臓に持病を持っていて、それが原因で体調を

狂わせて大学を休んでいたのだった。


大学を休むたびアンブレラが心配するので天気君は心臓病のことをアンブレラに

伝えた。

天気君の病気は心臓弁膜症って言って激しい運動はしちゃいけない病気で先天性の

ため手術はできないんだそうだ。


だから天気君が大学を休もうかなって言った時は、また心臓の病気が原因って

アンブレラは心配した。


本人はもうその生活に慣れてるようだけど自分でも脈を取らなくても脈が乱れるのは、普通にしていても分かるらしい。


だからアンブレラは、自分の魔法で天気君の病気を治してあげなきゃって思った。


その心配もあったが、ある日天気くんが大学から息をきらして帰って来て

あまりにも息切れがひどいからアンブレラの付き添いで病院へ行った。


検査の結果、肺の中が固まるって言う難病に指定される病気らしく判例も

少なく治療方法も確率されていない病気らしいことが分かった。

そのまま放置しておくと呼吸困難を伴って命に関わると医者から言われた。

一応急性ではなく慢性だったため薬を処方されて経過観察ってことになった。


だから天気君は息切れが酷いため大学にも行きかねていた。

医者もお手上げだった天気くんの肺の病気。

アンブレラは魔法の薬を作るため材料をかき集めて調合すると薬を天気くんに

飲ませての病気を少しづつ治療して行った。


もしアンブレラがこの世界に来てなかったら、天気くんは自分の寿命を全うする

ことなく天国に召されていたかもしれない。


「アンブレラ、君がここにいる以上僕はずっと君を愛し続けるし大切にするよ」


そう言って天気くんはアンブレラを抱きしめた。


「離さないからね、アンブレラ」


「うん、私も・・・」

「ねえ、天気くん・・・私、心の準備できてるよ」


「心の準備ってなんの準備?」


「あのね、天気君の病気が全部治ったら・・・天気君に私をあげる」


「まじで?・・・そんなこと軽々しく言っちゃっていいの?」


「いいの・・・私天気くんのこと大好きって言うか愛してるんだもん」

「天気君は、私が欲しくないの?」


「そりゃ・・・僕だって普通のスケベ〜な男だから・・・アンブレラとのエッチ

考えたことないかって言われたらウソになるけど・・・軽蔑しないでね」

「でも、いいのかな?」


「イヤならいいけど・・・これでも勇気出して言ったんだけどな」


「いや・・・ごめん、僕バカだね・・・女の子にそんなこと言わせちゃうなんて」

「そうだよね・・・それって勇気いるよね」

「じぇ〜僕の病気が全面的に治ったら、お願いしようかな?いつ病気が治るか

分かんないけど・・・」


「大丈夫だよ・・・私が絶対治してみせるから」


「ありがとう・・・病気のこともエッチのことも、ありがとう」

「あのさ、僕アンブレラのこともっともっと幸せにするから・・・幸せが

君のその可愛い両手から溢れるくらい」


「うん、頑張ってね」


そう言ってアンブレラは満面の笑顔で天気くんに微笑み返した。


その笑顔は、最初にコスプレイベントで見たときの笑顔と同じで、おしっこ

チビリそうなくらいめちゃ可愛いかった。


「ごめん・・・我慢できない・・チューしていい?」


「チューだけで我慢できるの?」


「・・・できないかも・・・心臓に負担かけないようにするからしていいエッチ」


「いいよ・・・来て」


な訳で天気君とアンブレラはめでたく結ばれて、大きな打ち上げ花火を打ち上げた。


つづくかも。








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