第4話:エルフに一目惚れした天気君。

「爆発してどこから飛んで来たんでしょ?・・・普通ならそれって死んじゃっ

てるよ」


「とっさに防御魔法使ったからです、だから大丈夫なんですよ」


「だから、お願いですから信じて・・・」


アンブレラは半泣き状態だった。


「泣かないでよ?」


「何度も言うようですけど、どう言ったら信じてもらえるんですか?」


「どう聞いても信じられないけど・・・?」


「じゃ〜・・・さっきあなたが作り物みたいにいったこの耳引っ張ってみて

ください?」

「作り物じゃないって分かりますから・・」


なこと言うもんだから、天気君はエルフコスの子の耳を引っ張ってみた。


「よく、くっついてるね・・・」


「だからつけ耳じゃないってば・・・本物の耳です」

「もっと強く引っ張っていいから・・・」


またまたそう言われて天気くんは彼女の耳がちぎれるくらい引っ張った。


「痛い、痛い、いたあ〜いぃ」

「引っ張りすぎです・・・耳がちぎれちゃうでしょ?」


「あ、ごめん」


「まあ、たしかに耳はハズれないけど・・・それでもな〜」

「人間の中にも突然変異とかで耳が尖った人だっているかもしれないし」


「そこまで理由つけて疑います?私のこと」


「ん〜・・・なんかさ、もっとインパクトある証拠でもないと・・・ただ信じろ

って言われてもね・・・」


「ん〜じゃ〜、これなら?」


そう言うとエルフコスの女の子は、なにか呪文みたいな言葉を唱えると、

自分の頭から足まで両手でズズい〜って上から下までなぞった。


そしたら・・・なんとずず汚れてた顔も衣装も、もとはこんなに綺麗だった

んだよ〜ってくらい綺麗な姿に変わった。

しかも自らをアピールするみたいにキラキラ輝いてるし・・・。


「およよ・・・なに?それ?」

「綺麗にクリーニングされたけど・・・今のなに?、なにが起きたの?」

「どうやったの?」


「魔法使っただけです」


「ま?魔法?」


「魔法使えるんです、私・・・ね、信じてくれました?」


「うん・・・今のはね・・・インパクトあったわ・・・今のは決定的だね

・・・びっくりだよ・・・分かった、まだ半信半疑だけど信じるしかなさそう

かな?・・・信じられないけど」


エルフコス・・・じゃなくて本物のエルフちゃんは容姿が綺麗になってさらに

超絶可愛くなった。


ありえない話だけど信じてみるかな・・・このさい人間でもエルフでも

どっちでもいいわ・・・この子連れて帰りたい。

頭おかしい子かもしれないけど、この子に完全に一目惚れしちゃったよ。


「じゃ〜・・・そのアンブレラちゃん、改めて僕の家に来てみる?」


「お願いします」


アンブレラはちょこんとお辞儀した。


見ず知らずの子を連れて帰ったりしたら誘拐じゃん。

お願い・・・見捨てないで?って訴えるようなウルウルした眼差しで見られたら

そりゃ天気君じゃなくても無下には断れないよね。


「しかたないね・・・じゃ〜僕のあとついてきて」


「はい、でもどっと疲れました・・・もう歩けません」


「え〜歩いてもらわないと連れて帰れないじゃん」


「あの、おんぶしてください」


「なんだって?」


「おんぶ」


この子がまじエルフならそのへんの事情、大いに興味あるところ。

連れて帰るメリットありありだよなって天気君は打算的になっていた。


つづくかも。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る