レトロゲーム攻略情報局

矢木羽研(やきうけん)

ファミコン

【FC他】ファイナルファンタジー1 パーティ考察

注:FF1はバージョンによる仕様の差異が大きく、特に「FC版・WSC版・PS版・(ガラケー版)」と「GBA版・PSP版・(旧スマホ版・3DS版)」と「ピクセルリマスター版」は、それぞれ全く別物と言えるくらいシステムが異なる(カッコ内は現在入手不可の配信版)。ここで扱うのは「FC版・WSC版・PS版」だが、他のバージョンについても事情が異なる部分に関しては補足程度に触れる。


 FF1では、ゲーム開始時に4人パーティを作るところからスタートする。4人のキャラには6種類のジョブを割り当てなければならず、一度ゲームが始まってしまえば途中での変更は不可能である。途中で「クラスチェンジ」はあるが、上位ジョブへのランクアップであって、役割を変更できるわけではない。


 複数のメンバーを同じジョブに就かせる選択肢もあるので、パーティの組み合わせパターンは126通りもある(注:メンバーの並び替えは自由なので、たとえば戦戦赤赤と戦赤赤戦は同じパーティとして扱う)。


 ゲーム全般を通して円滑に進行できるパーティを組むのであれば、優先すべき項目は以下の順だと思っている。


 1,戦士を1名以上。

 2,鎖かたびらを装備できるジョブ(戦士・赤魔術士)を2名以上。

 3,最初から黒魔法を使えるジョブ(赤魔術士・黒魔術師)を1名以上。

 4,最初から白魔法を使えるジョブ(赤魔術士・白魔術師)を1名以上。

 5,終盤のアタッカーとなるジョブ(戦士・モンク)を2名以上。

 6,最終的に黒魔法を使えるジョブ(シーフ・赤魔術士・黒魔術師)を2名以上。


 順番に解説する。まずはいかなるパーティでも戦士はすべからく入れなければならない。これは鉄則であり最優先である。他は外してもこれだけは守ってほしい。耐性装備の配分の都合上、戦士からクラスチェンジしたナイトが1人いるか否かで終盤の難易度が激変する。たとえ戦士4人の脳筋パーティであっても、戦士抜きの虚弱パーティよりは遥かにマシである。縛りプレイ以外の文脈において、いかなる理由があっても戦士抜きのパーティは非推奨であり、もしもそのようなパーティを(経験者の視点で)勧めてくる人がいたら、FF1というゲームを全くわかっていないか、ただ底意地が悪いかであり、全く信用に値しない。


 「GBA版・PSP版」では、全耐性持ちのリボン(および同様の耐性を持つ装備品)が手に入るので必ずしも戦士を入れる必要はなくなったのだが、いずれも追加ダンジョンを攻略する必要があるので、よほど尖ったパーティを組みたいのでなければ素直に戦士を入れた方がよい。


 2番目の鎖かたびらについて。これは最初の町で買える防具でありながら非常に高い性能を持ち、序盤から中盤にかけての物理攻撃の大半をしのいでしまい、体感難易度に大きく影響を与える。これより強い鎧は基本的に買う必要がないと言い切っても構わない。「戦士系は装備にお金がかかる」というイメージを覆す、コスパ最強の鎧である。また、鎖かたびらが装備できる戦士と赤魔は武器の質も良好である。


 3番目と4番目については、まあ説明不要かも知れない。魔法は使えないより使えたほうがいいに決まっている。回復はアイテムがメインになるので、どちらかといえば白魔法よりも黒魔法のほうが優先度が高い。まあ2番目と合わせて、赤魔術士が1人いれば足りてしまうのだが、できればもう1人くらいいると安定感が増す。


 なおFF1において使える魔法はケアル系(回復)とサンダーなどの属性攻撃系、ヘイスト(攻撃強化)にレイズ(蘇生)、ブリンクやインビア(回避アップ)くらいで、あとはサイレス(沈黙)とバマジク(地震・精神バリア)が使いどころをわかっていればピンポイントに役立つという程度である。


 これも赤魔術士がやたらと強い理由なのだが、白黒の専門家にしか使えない上位魔法はあまり役に立たず(そもそもレベルの都合でろくに使えない)、戦闘面の弱さばかりが目立ってしまう。黒魔に関しては「赤魔よりも早いレベルで強力な攻撃魔法を使えるようになる」ために前のめりなプレイヤーは使うことがあるが、白魔に関してはその性質上、運用面で赤魔より役に立つ場面が極めて限られる。RPGにおける基本ジョブのような顔をしておきながら、本作に関してははっきり言って地雷に近く、初心者が入れることは推奨しない。


 5番目と6番目は実質セットである。両方を兼任できるジョブはいないので、実質的には「物理アタッカー2名・黒魔法使い2名」ということになる。攻撃回数が倍増するヘイストをかけて、ボスの瞬殺を狙うことができる。FF1の戦闘はリカバリーが極めて困難ゆえに「殺られる前に殺れ」が基本であり、それはラスボスが相手であっても例外ではない。


 ここでようやくシーフの名前が出てきた。赤魔術士より優れている点はほぼ無い(幸運が高い=逃げ足が早いのだが、隊列の2番目以上にしていないと意味がなく、シーフを前列に出す時点で被弾が増えるので、基本的に戦闘自体を忌避する低レベル攻略以外では役に立たない特性である)のだが、クラスチェンジして忍者になれば、赤魔よりも少しタフな魔法戦士枠として機能する。まあ赤魔で十分とも言えるが、ジョブの個性を楽しむのなら使い分けたほうがいいかも知れない。


 ここにきて、ファミコン版のデフォルトパーティである「戦士・シーフ・モンク・赤魔術士」というのが極めてバランスの取れた編成ということが改めて理解できるはずである。迷ったらこれで構わないだろう(隊列に関しては、クラスチェンジまでは赤魔とシーフを入れ替えるべきだが)。


 WSC版以降、デフォルトパーティは「戦士・シーフ・白魔・黒魔」になってしまった。これは改悪以外の何物でもない。上記の優先表で言えば2と5が欠けた状態で、特に序盤は白兵戦の弱さに辟易とする羽目になる。まして抜け道の少ないWSC版においては、この編成のせいでFF1のクリアを諦めて本作を嫌いになったプレイヤーが続出していてもおかしくない(システムが見直されたGBA版などでは悪くない編成なのだが)。


 もっともファミコン版であっても、中途半端にRPGなどの知識があると高確率で選びがちなパーティである。確かにD&Dから続く基本役割4種なのだが、あちらのクレリックと比較すると白兵戦能力が大幅にナーフされた白魔と、探索要素そのものがオミットされたシーフは完全に別物であり、適切なパーティとは言えないだろう。


 ファミコン版やワンダースワンカラー版のFF1のプレイを断念したという方は、その理由の大部分はパーティ編成のマズさによるものだと思っている。ぜひもう一度、適切な編成で再挑戦してみてほしい。

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