第4話 襲撃


 塔に来て半年たった頃、襲撃があった。


 魔法攻撃のすさまじい爆発音が管理部まで響いてきた。

 足もとを見ると、白猫のパールが机の下にもぐりこんで震えていた。

「何事?」

 チェルシーとティモテは窓際に行って外を覗いてみた。

 マイクもやってきて渋い顔をした。

「塔に攻撃を仕掛けているやからがいるようだ」

 目を凝らすと塔の入り口付近に黒い髪の4人の少年少女が見えた。


「俺は勇者・キョウ、今日から塔はオレたちが管理する!」

「同じくリュウ、責任者は出てこい! 出てこないなら力ずくで引きずり出すぞ!」


「なんか叫んでますよ。あれどうするんですか、マイクさん?」

「無視すればいいよ。スルーが一番さ」

「また攻撃されたら?」

「この塔は頑丈だから心配いらないよ」

「先程のあれは攻撃魔法ですよね」ピーターもやってきて窓から覗いた。「魔法は使えなくなったはずなのにどうして使えるんですか?」

 ピーターの質問にマイクが答えた。

「異世界から来た勇者たちはハイブリッド・チャイルドと呼ばれている。魔力の存在しない世界と存在する世界の両方の特性を兼ね備えているんだ。だから魔力が無くても他の方法で魔法を使うことができるんだ」

「他の方法っていったいどんな方法ですか?」

「おそらく自らの命を魔力に変換しているんだろうね」

「そんなことが可能なんですか?」

「まあ、勇者だからね」


 その後もズドンズドンと何度も爆発音が響いてきた。

 パールは机の下から出てこなくなった。

 机の下に隠れて小さくなって震えているパールの姿を見ていると、チェルシーの胸はこの上なく痛んだ。

「あいつらに文句言ってくる!」

 かわいい白猫のパールをこんなに怯えさせるなんて許せない!

「仕方がないな、僕もいくよ」

「わたしも」

「僕も」

 マイクとティモテとピーター、それから騒ぎを聞きつけてアシャーとニックもやってきた。

「世界を壊した勇者の顔をおがんでやるぜ」

 アシャーがニヤリと笑った。

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