もちろんでしゅとも!
はうううううう。
ため息が出てしまう。
いや、まあ。いやいやいやまあね? 可能性は未知数だった。私はそれに賭けた。何よりチャレンジした事に意義がある。あるんだよ。
だっけどなあ……ポイントひとつもついてなかったのにはちょっとしょんぼり。その可能性もあるとは思ってたけど、俺Tueeeeeeからのスローライフ、チート、ハーレムってほら、私みたいな根腐れ女ゲフンゲフン、ラノベ好きの憧れじゃん? しかもこんなシチュなら期待しちゃうじゃん、もしかしたらってさ。
例えばさ? 宝くじ買って『当たってたらいいねえ~』とかみんなで言いつつも、当選番号発表日には全私が目を皿のようにして見ちゃう、とかあの感じに似てるような似てないような。
ま、お金は自分で稼ぐに越したことはないから買ったのは勧められたあの一回だけだけど、あん時は勝手にドキドキして勝手にガックリしたもんだ。もう買わんけど……ってか売ってないっての。
ま、それはさておいて。
朝からいつも以上に気合いを入れてお店手伝ってさ? 友達に笑顔になってもらおうとネタを交えながらスロートークもばっちりだっだしさ? お悩み相談も受け付けてたし! オマケに授業では誰よりも早く手を上げて利口さをアピって頑張ったのに、頑張ったのにぃ!
ま、全問不正解だったけど。挙句の果てに昼休み後からは先生同士で情報の落とし込みでもあったのか誰もご指名してくれなくなったけど。うむむ、小賢しい手を使いおる。きっとこれが『勝負に勝って試合に負ける』ということなのだろう、うむ。
全く勝ててない? 誰だそんな事を言ったヤツは、表に出ろい! まあ学校帰りだから表だぜ! うむ、安定のスキル君ありがとう。
でも、だ。こうなってみるとポイント獲得はゲームみたいにそうそう簡単にはいかないようにしてるのかもしれない、とも考えてしまう。
ポイント割り振りで10がMAX、極みという称号までついてくるならば1ポイント上げるだけでも相当なもんだし、しかも元に戻す事ができるなんて破格の性能だ、何をするにもお釣りがくる。
だけど。
それに胡坐をかいてはダメだ。今は自由自在に使えていても、いざという時にマイナスで戻せなくなるかもしれない。備えはあるだけあった方がいい、手札は多い方がいい。何があっても大切なものを、愛する人を守れるように。おおお、いい事言った!
まあ実際はお父さんとお母さんに守られてばっかりだし、私は冒険者になるつもりもないけどね。それでも、転生に気がついた今は少しずつできる事をやっていこう。
前向けー。
上見ろー、岡島未来!
●
「ただいま~」
「お帰り。今日は予約が多いから宿題が終わったら仕込みを手伝ってくれないか?」
「ほい、任せて! 今からでもいいけ」
がっしぃ!
「へう?!」
「今日はいいわ、ありがと。でもいい加減、帰ったら宿題終わらせるクセつけよっか」
「ふあい」
「あなたもほら、私も手伝うからもうちょっと頑張んなさい? アイラだってやる事がいっぱいあるんだから」
「へい」
お母さん、肩にゆっくりと力を籠めていくのはやめてつかぁさい。ああ、真綿で首をしめられる感覚がこれなんですね。勉強になりました。お父さん顔真っ青です。冷や汗かいてますね。親近感と共有感が半端ないです。
「アイラは言い訳の準備もあるもんねえ」
「え?」
い、言い訳? な、何やらかした? 何がバレた?! あれか? 前回の新メニューの塩だれ肉串が美味すぎて、からのつまみ食い一人前堪能した事か? いや、その時はランチタイムの時に焼き台で延々と串焼きをさせられて終わった事案だ。
それともあれか? お母さんがテーブルに突っ伏してうたた寝してる時、手に『ダスティLOVE』って書いた事か? でもあん時は魔法でオデコに目玉の紋章貼り付けられて学校を爆笑された事で手打ちに……。
「あら、いろいろと説明してくれるんじゃなかったの?」
「…………っ!! も、ももも! もちろんでしゅとも!」
「ならいいわ。ほらほら宿題を済ませておいで? その後は仕込み手伝ってね~」
わっすれってたー!! ポイントの事で頭がいっぱいで頭から抜け落ちてた! 昼以降全く考えてないっての!
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