最高の一撃。
「ちょっと! ここからいい所なんだから聞いてぇ! でね? 私の鑑定は食材の持つ力や効果が見えるの! 食堂の看板娘にピッタリ!」
「お、すげえ」
「でっしょー?」
「ほ、他に何が鑑定できるの? 僕のステイタス、見れたりする? どんな力が秘められているのか、み、見てほしいっ!」
「あ、それいいな! ギルドの鑑定オーブみたいに見えたりすんの? 俺も鑑定してくれよ!」
オーブって何だっけ。それとも例の
いやあ、あのシリーズはホント名作だった。なけなしの金でBlu-ray買っちゃったくらいに。曲もまた良くってさ? いーいタイミングでズン! ドン! はたまたふわりって神曲が差し込まれて、もう死ぬほど泣いた。
そんなこんなでホントに死んじゃったけどね。テヘペロ☆……あー! 私、種自由のBlu-ray予約してたの忘れてた! すっごい楽しみにしてたのに……痛恨。これが痛恨の味だというのかっ!
……こうなってみると一人ボケツッコミじゃ物足りない。『そのオーブじゃねえし!』『げふうっ』っていう役割分担が欲しくなってきた。
NTR王子と名高い彼が大好きなアイツ、異世界転生して来ないかな。あの根っからの腐女子なら綺麗なツッコミを入れてくれるだろうに。まあ彼は不遇だったから私達の中では一番人気だったんだけどね、薄い本作っちゃうくらいに。LOVE王子。
待て、落ち着け。腐れてただれた考え事ばっかしてるからトーマたちが呆れて、見事に置いてけぼりじゃないか! オーブってギルド見学で男子達が大騒ぎしてたアレの事だよね。はい、さりげなく、するっとさりげなく合流。
「あー、私の鑑定って食材だけなんだよね」
「なーんだ」
「ざ、残念」
「アイラ、やっぱり残念な子」
「……というのはウソで、リルの裸を堪能中☆」
「「「!!!」」」
あ、全員走って逃げやがった!
「嘘だよ! 嘘だってばあ!」
「「「ぎゃああああああ!!!」」」
●
「ぜえ、ぜえ……! 軽い冗談だってば!」
「……アイラ、本当に見えてないよね?」
「見えてなーい☆……あぶ! 危ない!」
爪! 爪振り回さないでえ!
「アイラ! み、見えてたら絶交だからな!」
「はあ、はあ……あ、アイラのバカバカ」
「ごめんごめん。リルが私のこと残念って言うから仕返ししただけ。神様に誓って、裸見えてないよ」
「それが噓だったら、私の最高の一撃を叩きこむ。そしてアイラは一生私の召使い」
「ひい?!」
リル、笑いギレは怖いからやめとこうか。そしてこらこら、そこの男子たち。お股を隠すのはやめなさい。内股加減がカワ面白すぎるだろ。
「まあ冗談抜きで言うと、便利なスキルが手に入ったから効果の確認も兼ねて、『大鷲亭』に負けないようにいろんな料理を作ろうと思うんだ。うちのお父さんとお母さんの料理と私のスキルがあれば、お客さんを呼び戻せると思うの」
「……ごめん」
「……」
「リル、ラルフ。そんな顔しないで?」
やっぱ気にしてるのかな、リリさんとラーンさんがウチをやめたこと。水臭いなあ、全くもう。
「みんな大変な中で頑張ってるのは一緒だよ。それにこれからこれから。ウチが大繁盛すればリリさんとラーンさんを呼び戻せるし、お父さんとお母さんもそのつもりだって言ってたよ?」
二人の顔が輝いた。まだまだ子供。でもホント可愛いなあ。
「でさ、そんな大作戦の前に食材の効果試してみたいんだよね。冒険者向けとか身体が健康になるメニュー作りと試食、協力してくれない?」
あ、ユラおばさん向けの食事も試してみたいかも。トーマ、いっつも心配してるもんね。
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