極み。
『て…………』
『……………………』
『…………聞…………わ…………』
周りを見ても、誰もいない。というかさっきから部屋の中には私しかいなかったから当然……当然、なのか? この世界にも夢アイテム、どこでもゲフンごっほん危ない危ないなんちゃら権に引っかかるところだった。
壁に耳あり正直メアリー(美少女メイド)というではないか。メアリーちゃんが聞き耳を立ててニヤリと笑ったりきゃあきゃあはっふん! となってたら大変じゃないか……何じゃそりゃ。
取りあえず逃げる態勢を確保して、と。
考察その①。
メニューの中の人の声が聞こえた。
けど何回見てもミュートのまま。それにきっと今頃中の人は思ってもいなかった休暇をゲットしてお楽しみなはずだ。きれいな声に相応しいイケメンを
ていうか、喋らせてくれないからって呪いを発動してたりしないよね?! あの大きな声で叫びながら丑の刻参りとかしてないよね?! 私悪くないじゃん! 声がデカすぎるんだよ!
迷わず成仏してくれたまい、骨は拾わん。
考察その②。
誰かが近くで、例えばお母さんが魔法を唱えている。
やめてよ! 私じゃお母さん止めらんないから!
愉快犯的に食い逃げしようとした輩を天空逆さ
とはいえ、今日も仲良くしてたし違うよなあ。喧嘩するほど仲がいい、というけどもウチはどちらかと言うと常にラブラブだから、じゃれ合い以上の喧嘩はあまり見たことがないからね。
次。
考察その③。
霊が近くにいる。
振り向けば、ほら。
ほら、じゃねーよ! 無理無理無理無理! 私、ガチ泣きするからな! 出てきたら攻撃力に全ポイント割り振ってぶっ飛ばすぞお?! 悪霊退散、魔界転生、摩訶不思議ぃ!
いかんいかん。自分の妄想力にしてやられてしまった。こっちでもあっちでも今まで見たことないんだから、ダイジョブダイジョブ。はいアイラ、どうどうどう。ニッコリ笑ってハイチーズ。
考察その④。
私を転生させてくれた神様の声。
む。むむむ。
知力が上がったってことはそっち系もあるかもしれない。というか①から④の中で一番しっくりくる。③が嫌すぎるから言ってる訳ではないからね、うん。
でも全然聞き取れないんだよね、この声。
『……………………ん』
『……ど……………………え……』
気になるを通りこしてモヤモヤしてきた。
……これは行っとくか? スキル10ポイント全部ポチってみるか? 特典ガチャの未来ちゃん、発動か? 私の引きが弱すぎてNカードだらけだったけどな!
冗談抜きで神様にはいろんなことを聞いてみたいし、お礼も言いたい。私に白羽の矢が立った理由は見当つかないけんども……転生させてもらってさ、こんなに幸せなんだ。言わなきゃバチが当たるよ。
よし。
思い立ったが吉日、行くぜぇ!
ぽちぽちぽちぽちぽちぽちぽちタマ三毛。
さあ、神様降臨オナシャス!
『…………さあ、世界の叡智に触れし者よ。汝、解き放て!』
「……は? ナニコレ! 頭の中に声が響いてる?!」
それにLvMAX……だと? 『魔導の極み』?! ……うわ! 何で私、中二ポーズ取った?! いや違う、これが今の最適解! 解放せよ解放せよ解放せよ何て言えばいいんだまあいいや片っ端から頭に浮かんだ言葉を言えばいい昼に太陽夜に月星我が力と叡智によってこの世界に新たなる扉を開かんさあ魔力よ集えマ
「アイラ、何が起きた! お父さん達の後ろ、に……?!」
「何でアイラの部屋からフランデルの……ちょっと、アイラ! 何を馬鹿やってるの! S級魔法使いが数人がかりで使う神獣召喚魔法なのよ! 魔力切れ起こしてぶっ倒れるわよ!」
マジですか、ふっはっは!
「きゅう」
「「アイラ!」」
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